リーバイスのタグで年代とジャケットの価値が一発でわかる完全ガイド！古着初心者も安心の見分け方テクニック

リーバイスタグ年代ジャケットの関係性を理解することは、ヴィンテージデニムの世界への入り口となります。リーバイスのデニムジャケット（通称Gジャン）は、時代とともに様々な変化を遂げており、その痕跡はタグや細部のディテールに刻まれています。1937年の506XX誕生から現代に至るまで、各時代の特徴を知ることで、あなたが手にしているジャケットの真の価値と歴史を理解できるようになるでしょう。

本記事では、徹底的に調査した情報をもとに、リーバイスのデニムジャケットにおける年代判別の全てを網羅的にご紹介します。ファースト、セカンド、サード、フォースという4つの大きな分類から、ボタン裏刻印、パッチの変遷、内タグの読み方まで、どこよりもわかりやすく解説し、さらに独自の考察も交えて、古着初心者から上級者まで満足できる内容をお届けしました。

この記事のポイント
✅ リーバイスのデニムジャケットは4つの時代（ファースト〜フォース）に分類できる
✅ 型番（506XX、507XX、557XX、70505）によって製造時期と特徴が判別可能
✅ 赤タブのビッグEとスモールeの違いで1971年前後の判別ができる
✅ ボタン裏刻印から工場番号と製造年代の特定方法がわかる

リーバイスジャケットのタグで年代を見分ける基本知識

リーバイスジャケットのタグで年代判別する最初のポイントは型番の確認
ファーストと呼ばれる506XXは1937年から1953年までの貴重なモデル
セカンドの507XXは胸ポケットが2つになった1950年代のクラシックモデル
サードの557XXはV字ステッチが特徴的な1960年代の人気モデル
フォースの70505は着丈が長くなった1970年代以降のモダンスタイル
赤タブの変遷でビッグEとスモールeの違いを見分けることができる

リーバイスジャケットのタグで年代判別する最初のポイントは型番の確認

リーバイスのデニムジャケットの年代を特定する際、最も重要な手がかりとなるのが型番の確認です。パッチ（革や紙のラベル）に記載された数字を読み取ることで、おおまかな製造時期を推定することができます。

リーバイスのデニムジャケットは、一般的に大きく4つの時代に分類されており、それぞれに特徴的な型番が付けられています。古い順番から「ファースト」「セカンド」「サード」「フォース」と呼ばれ、デニム愛好家やコレクターの間では常識的な分類方法として定着しています。

🏷️ 主要な型番と時代区分

時代区分	型番	製造期間（推定）	主な特徴
ファースト	506XX	1937年〜1953年	シンチ・バックル、短いシルエット
セカンド	507XX	1952年〜1962年頃	胸ポケット2つ、アジャスターベルト
サード	557XX	1962年〜1970年頃	V字ステッチ、埋め込み型ポケット
フォース	70505	1970年代〜	着丈が長い、オレンジ糸ステッチ

この分類を理解することで、古着屋やオークションサイトで目にするデニムジャケットの大まかな年代を瞬時に判断できるようになります。ただし、製造時期には重複期間があることも多く、一般的には複数の要素を総合的に判断することが重要です。

型番の確認は、パッチが残っている場合に最も確実な方法となりますが、経年劣化によってパッチが欠損している場合もあります。そのような場合でも、シルエットやディテールから推測することは可能ですが、推測の域を出ませんので注意が必要です。

各時代のジャケットには、それぞれ独特の魅力と価値があります。ファーストやセカンドは希少性が高く、コレクターの間では高値で取引される傾向があります。一方、サードやフォースは比較的入手しやすく、デイリーユースとしても楽しめるモデルと言えるでしょう。

ファーストと呼ばれる506XXは1937年から1953年までの貴重なモデル

506XXは、リーバイスのデニムジャケット史上最も古く、最も希少価値の高いモデルです。1937年の誕生から1953年のモデルチェンジまで、約16年間にわたって製造されました。このモデルは、現在のデニムジャケットの原型とも言える存在で、ヴィンテージ・デニムジャケットを代表するアイテムとして位置づけられています。

506XXの特徴として最も印象的なのは、シンチ・バックルと呼ばれるデニム製のベルトです。これは当時のワークウェアとしての機能性を重視した設計で、作業時の動きやすさを確保するためのアジャスター機能を果たしていました。初期のモデルでは、このシンチ・バックルが丸みを帯びたデザインになっているのが特徴的です。

📊 506XXの年代別特徴

年代	主な特徴	希少度
1937年以前	赤タブなし、丸いシンチ・バックル	★★★★★
1937年〜1942年	赤タブ付き、大きい長方形ボックスステッチ	★★★★★
1942年〜1945年	大戦モデル、フロントボタン4つ	★★★★★
1946年〜1953年	針無しバックル、仕様変更	★★★★☆

大戦時代（1942年〜1945年頃）の506XXは、**「大戦モデル」**として特に珍重されています。この時期は戦争の影響により、フロントボタンが通常の5つから4つに減らされているものが多く見られます。また、ボタンには通常のLevi’s表記のものと、月桂樹が描かれているものの両方が存在し、これらの違いも年代判別の重要な手がかりとなります。

506XXのシルエットは現代のジャケットと比較すると、かなり短めの着丈が特徴的です。これは当時のワークウェアとしての機能性を重視した結果で、腰回りの動きを妨げないよう設計されていました。また、アームホールも小さめに作られており、タイトなフィット感が楽しめます。

1950年代に入ると、506XXは大きな変化を迎えます。トラッカージャケット（トラック運転手用のジャケット）として着用されることが多くなり、シンチ・バックルについている2本針が車を傷つけるという苦情から、針無しのバックルに変更されました。この変更は、実用性を重視するリーバイスの姿勢を表しています。

現在市場に出回っている506XXは、その希少性から非常に高値で取引されることが一般的です。特に状態の良いものや、初期の特徴を多く残しているものは、コレクターの間で争奪戦になることも珍しくありません。

セカンドの507XXは胸ポケットが2つになった1950年代のクラシックモデル

507XXは、1952年から1953年にかけて506XXからモデルチェンジされたセカンドモデルです。このモデルチェンジは、リーバイスのデニムジャケット史において重要な転換点となり、現代のデニムジャケットに近いデザインへの第一歩となりました。

507XXの最も大きな特徴は、胸ポケットが1つから2つに変更されたことです。これにより、より実用性が向上し、ワークウェアとしての機能性が格段に向上しました。また、この変更は視覚的なバランスも改善し、より洗練された印象を与えるデザインへと進化させました。

🎯 507XXの主要な変更点

胸ポケット：1つ → 2つに変更
シンチ・バックル：廃止
ウェストバンド：両脇にアジャスターベルト採用
シルエット：506XXの短いシルエットを継承
アームホール：小さめのサイズを継承

シンチ・バックルの廃止は、506XXから507XXへの大きな変更点の一つです。代わりにウェストバンド（裾）の両脇にアジャスターベルトが採用されました。この仕様は現在のGジャンにおいても見られるもので、507XXが現代デニムジャケットの基礎を築いたことがわかります。

507XXの製造期間は比較的短く、おそらく10年程度と推測されます。そのため、506XXほどではありませんが、現在でも希少価値の高いモデルとして扱われています。特に1950年代のファッションシーンにおいて、デニムジャケットの人気が高まった時期と重なるため、当時の若者文化を象徴するアイテムとしても注目されています。

507XXのシルエットは、506XXから引き継いだ短いデザインが特徴的です。着丈はウエストライン程度で、現代のクロップド丈に近い印象を与えます。このシルエットは、当時のハイウエストなボトムスとのバランスを考慮したものと思われます。

素材面では、507XXも506XXと同様に、厚手のデニム地を使用しており、経年変化による色落ちが非常に美しく現れることで知られています。特に肘や背中などの可動部分に現れる独特のアタリ（色落ち）は、507XXならではの魅力として古着愛好家に愛され続けています。

現在の古着市場において、507XXは506XXに次ぐ価値を持つモデルとして位置づけられています。状態や年式によって価格は大きく変動しますが、一般的には数十万円から場合によっては100万円を超える価格で取引されることもあります。

サードの557XXはV字ステッチが特徴的な1960年代の人気モデル

557XXは、1960年代初頭に登場したサードモデルで、リーバイスのデニムジャケット史において最も視覚的にインパクトのある変更が施されたモデルです。セカンドとは外観が大きく異なり、ポケット部からウェストバンドに向かったV字型のステッチが最も印象的な特徴となっています。

このV字ステッチは、単なるデザイン要素ではなく、ジャケットの強度を高める機能的な役割も果たしていました。当時のリーバイスは、ワークウェアとしての耐久性を重視しており、このステッチによってポケット部分の負荷を分散させる効果があったと考えられます。

🔧 557XXの技術革新

変更点	従来	557XX
プリーツ	あり	廃止
ポケット形状	外付け	埋め込み型
ステッチデザイン	直線的	V字型
アームホール	小さめ	大きめに変更
着丈	短い	短いまま継承

557XXでは、それまでのモデルに見られたプリーツが廃止されました。代わりに、ポケットが埋め込み型に変化し、よりスマートな外観を実現しています。この変更により、ジャケット全体のシルエットがよりシンプルで洗練された印象になりました。

アームホールが大きくなったことも、557XXの重要な特徴の一つです。この変更により、着用時の可動域が向上し、より動きやすいワークウェアとして進化しました。一方で、着丈は従来の短いスタイルを維持しており、リーバイスの伝統的なシルエットを継承しています。

557XXには、パッチの表記による細かな分類が存在します。**「Every Garment Guaranteed」と表記されているものは「ギャラ入り」**と呼ばれ、特に価値の高いバリエーションとして知られています。これにより、557は「557」「557XX」「557XX ギャラ入り」と分類することができます。

💡 557XXのバリエーション解説

557：基本モデル
557XX：パッチ表記のみ異なる（機能的な違いは少ない）
557XX ギャラ入り：「Every Garment Guaranteed」表記あり、希少価値高

ギャラ入りの557XXは、リーバイス社が品質保証を行っていた時代の証でもあります。商品が破損した場合に新品と交換するサービスを提供していたため、この表記があるモデルは、リーバイス社の品質への自信を表すものとして、現在でもコレクターの間で高い評価を受けています。

557XXは、1960年代のカウンターカルチャーやロックシーンとも密接な関係があります。この時代のミュージシャンや若者たちが好んで着用したことで、ファッションアイテムとしてのデニムジャケットの地位を確立したモデルとも言えるでしょう。

現在の古着市場において、557XXは比較的入手しやすいヴィンテージモデルとして人気があります。特にギャラ入りでないモデルは、ファーストやセカンドと比較すると手頃な価格で購入できることが多く、ヴィンテージ初心者にもおすすめのモデルです。

フォースの70505は着丈が長くなった1970年代以降のモダンスタイル

70505は、1970年代に登場したフォースモデルで、リーバイスのデニムジャケットにおいて最も大きなシルエット変更が行われたモデルです。これまでのファースト、セカンド、サードが維持してきた短い着丈から、着丈が長くなったことが最大の特徴となっています。

この変更は、リーバイスが品番変更を行った際に実施されました。557が70505に型番変更されたもので、当初はパッチの表記が異なるのみでしたが、のちにパッチが小さくなるなど、細部にも変更が加えられました。これらの変更は、時代のファッション傾向に合わせた戦略的な判断だったと推測されます。

🎨 70505の主要な変更点

変更内容	詳細	影響
着丈	短い → 長い	より現代的なシルエット
Vステッチ	急な傾斜 → 緩やかな傾斜	視覚的な印象の変化
ステッチ末端	閉じていた → 開いている	デザインの簡素化
ステッチ色	従来色 → オレンジ糸	統一感のある外観
パッチサイズ	大きい → 小さい	よりコンパクトな印象

70505では、胸ポケットからのVステッチの傾斜が緩やかになり、末端部が閉じていないのが特徴です。この変更により、これまでのモデルと比較してよりシンプルで洗練された印象を与えるようになりました。また、主要な部分のステッチが全てオレンジの糸で統一されているのも、70505の特徴の一つです。

着丈の変更は、1970年代のファッショントレンドに対応したものと考えられます。この時代には、より長めのアウターが好まれる傾向があり、リーバイスもその流れに対応したと推測されます。結果として、70505はより現代的なシルエットを持つデニムジャケットとして位置づけられることになりました。

70505の登場により、デニムジャケットはワークウェアからファッションアイテムへの転換点を迎えました。それまでの機能性重視の設計から、よりスタイリッシュな外観を重視した設計へと変化し、一般消費者にとってより身近な存在となりました。

素材や製造技術の面でも、70505は改良が加えられています。縫製技術の向上により、より耐久性が高く、同時に着心地の良いジャケットとして進化しました。また、染色技術の発達により、より深く美しいインディゴカラーを実現することも可能になりました。

現在の古着市場において、70505は比較的入手しやすいヴィンテージモデルとして人気があります。1970年代から1980年代にかけての製造で、まだ製造数も多く、価格も手頃な範囲で購入できることが多いです。そのため、ヴィンテージデニムジャケットの入門モデルとしても適しているでしょう。

また、70505は現代のファッションシーンにも馴染みやすいシルエットを持っているため、デイリーユースとしても活用しやすいモデルです。ヴィンテージの魅力を楽しみながら、実用性も兼ね備えているという点で、多くの人に愛され続けています。

赤タブの変遷でビッグEとスモールeの違いを見分けることができる

リーバイスの代名詞とも言える赤タブは、デニムジャケットの年代判別において最も重要な手がかりの一つです。特にビッグEとスモールeの違いを理解することで、1971年前後の製造時期を正確に判別することが可能になります。この知識は、ヴィンテージデニムの価値を見極める上で欠かせないスキルと言えるでしょう。

赤タブの歴史は1936年に始まり、当初は片面にのみ「LEVI’S」と表記されていました。1953年からは両面に表記が入るようになり、1966年にはVの形状が変更されるなど、時代によって細かな変化が見られます。これらの変化は、製造技術の向上やブランディング戦略の変更を反映しています。

📊 赤タブの年代別変遷

年代	表記	特徴	希少度
1936年〜1953年	LEVI’S（片面）	刺繍、®マークなし	★★★★★
1953年〜1966年	LEVI’S（両面）	均等V、®マーク付き	★★★★☆
1966年〜1971年	LEVI’S（両面）	不均等V、ビッグE	★★★★☆
1971年〜1974年	Levi’s（両面）	不均等V、スモールe	★★★☆☆
1974年〜	Levi’s（両面）	スモールe継続	★★☆☆☆

ビッグEとは、「LEVI’S」の「E」の文字が大きく表記されているタイプのことで、1971年以前の製品に見られる特徴です。一方、スモールeは、「Levi’s」の「e」の文字が小さく表記されているタイプで、1971年以降の製品に採用されました。

この変更は、リーバイス社のブランドイメージの変化を反映しています。1971年頃、同社は従来のワークウェアブランドからファッションブランドへの転換を図っており、よりソフトでモダンな印象を与えるため、大文字表記から小文字表記への変更を行いました。

🔍 ビッグEとスモールeの見分けポイント

ビッグE：「LEVI’S」全て大文字、Eが特に大きい
スモールe：「Levi’s」最初のLのみ大文字、eが小文字
V字の形状：1966年以降は不均等V（右側が細い）
®マーク：1953年以降に付く

ビッグEの時代の赤タブには、他にも特徴的な点があります。例えば、Vの字が均等に作られている時代（1953年〜1966年）と、不均等に作られている時代（1966年〜1971年）があり、これらの違いも年代判別の手がかりとなります。

また、赤タブには**®（レジスターマーク）のみ**のバリエーションも存在します。これは「ブランクタブ」と呼ばれ、リーバイスがタブそのものの商標権を持っていることを示すため、社名なしで®のみのバージョンを一定の割合で生産していたものです。このタイプは特にコレクターに人気があります。

赤タブの刺繍技術にも注目すべき点があります。1982年頃からプリント技術が導入され、それまでの立体的な刺繍から平面的なプリントへと変化しました。刺繍タイプは糸に光沢があり立体感があるのに対し、プリントタイプは平面的で光沢が少ないという違いがあります。

現在の古着市場において、ビッグE時代の製品は特に高い価値を持ちます。製造期間が限られており、現存数も少ないため、状態の良いものは非常に高値で取引される傾向があります。特に白タブとビッグEの両方の特徴を持つアイテムは、コレクター垂涎の逸品と言えるでしょう。

リーバイスジャケットの年代をタグ以外のディテールで判別する方法

ボタン裏刻印は工場番号と製造年代を特定する重要な手がかり
パッチの素材と印字内容は時代背景を物語る貴重な資料
内タグは1974年以降に導入された製造年月の確実な証拠
ステッチパターンの違いは縫製技術の進歩を表している
白タブとオレンジタブは特定用途向けの希少なバリエーション
偽物を見分けるポイントは細部のディテールへのこだわり
まとめ：リーバイスタグ年代ジャケットの判別は総合的な視点が重要

ボタン裏刻印は工場番号と製造年代を特定する重要な手がかり

ボタン裏刻印は、リーバイス製品の年代を判別する上で最も確実な手がかりの一つです。この小さな数字やアルファベットには、製造工場や年代に関する重要な情報が刻まれており、ヴィンテージコレクターにとって欠かせない判別ポイントとなっています。

ボタン裏の刻印は時代とともに変化しており、大きく分けて一桁、二桁、三桁、そして現代の四桁という変遷をたどっています。これらの変化は、リーバイスの生産体制の変化や工場の拡張を反映しており、アメリカの産業史の一端を垣間見ることができます。

🏭 ボタン裏刻印の年代別分類

刻印形式	年代	代表的な刻印	特徴
一桁	1950年代〜1970年代	A、D、E、F、J、K、L、O、S、W、2、4、5、6、8	アルファベットは特に希少
二桁	1960年代〜1980年代	10、12、14、16、17、20	16工場が特に人気
三桁	1980年代〜2000年代初期	273、501、513、515、522、524、555	5から始まるのはリーバイス社内
四桁	2000年代〜現在	文字が密集	現行品の特徴

一桁の刻印の中でも、アルファベットは特に希少価値が高く、「A」「D」「E」「F」「J」「K」「L」「O」「S」「W」などが知られています。また、数字の「2」は特に希少とされ、古着マニア垂涎の刻印として有名です。これらの一桁刻印を持つアイテムは、1970年代以前の製造である可能性が高く、ヴィンテージとしての価値も非常に高いものになります。

二桁の刻印では、「16」工場が特に注目されています。この工場は1950年代から1970年代中期まで長期にわたって稼働していた工場で、変わったモデルが多く、人気のある刻印とされています。16工場製のアイテムは、独特のディテールを持つことが多く、コレクターの間では「16モノ」として特別視されています。

三桁の刻印時代では、番号の最初の数字によって製造元を判別することができます。5から始まる番号はリーバイス社内の工場、6から始まる番号は社外の工場を示します。中でも「555」工場は、バレンシア工場（1996年〜2003年）として知られ、アメリカ製最後の工場として人気があります。

💡 特に注目すべき工場番号

524工場：エルパソ工場、通称「旧6工場」
555工場：バレンシア工場、最後のUSA製
16工場：長期稼働、変わったモデル多数
2工場：極めて希少、プレミア価格

現行品では四桁の刻印が使用されており、文字が密集して刻印されているのが特徴です。これらは一目で現代の製品であることがわかるため、ヴィンテージとの区別は容易です。

ボタン裏刻印を確認する際の注意点として、錆びや摩耗によって文字が読めなくなっている場合があります。そのような場合は、他のディテールと組み合わせて判断する必要があります。また、復刻版（LVC等）では、アルファベット+数字の組み合わせが使用されることが多く、特に日本企画モデルには「J」が先頭につくことが一般的です。

ボタン裏刻印の知識を身につけることで、古着屋やフリマアプリでのアイテム選びが格段に効率的になります。パッと見ただけで年代を推定できるようになれば、掘り出し物を見つける確率も大幅に向上するでしょう。

パッチの素材と印字内容は時代背景を物語る貴重な資料

リーバイスのデニムジャケットに付けられているパッチは、単なるブランド表示以上の意味を持っています。その素材と印字内容は、製造年代だけでなく、当時の社会情勢やリーバイス社の経営方針までも物語る貴重な歴史資料と言えるでしょう。

パッチの素材は、時代とともに大きく変化しています。初期のリーバイス製品には鹿革製のパッチが使用されていましたが、1955年頃からは耐久性の問題から紙パッチに変更されました。この変更は、大量生産体制への移行とコスト削減の必要性を反映していると考えられます。

📜 パッチ素材の変遷

年代	素材	特徴	保存状態
〜1955年	鹿革	高級感、耐久性	良好な場合が多い
1955年〜	紙	量産対応、コスト削減	欠損しやすい
現代復刻版	合成素材	鹿革の再現	非常に良好

印字内容の変化は、より複雑で興味深いものがあります。1958年頃までのパッチには、型番の後に**「XX」（例：501XX）と表記があり、その上の段に「Every Garment Guaranteed」**という記載がありました。これは「すべての商品を保証する」という意味で、当時リーバイスは製品が破れた場合には新品と交換するというサービスを行っていたのです。

🛡️ パッチ印字の年代別変化

年代	主な印字内容	特徴
〜1958年	型番XX、Every Garment Guaranteed	品質保証サービス実施
1962年〜1965年前期	Made in U.S.A.（小さめ文字）	保証サービス終了
1965年後期	100% COTTON、Made in U.S.A.、WPL 423	素材表示の明確化
1966年〜1967年	ダブルネーム	型番変更による混乱回避
1967年〜1969年	タイプ物（A、S、F、I）	アルファベット印字
1970年〜1990年代	CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT	内タグとの連動

1966年から67年にかけては、リーバイスが品番を変更したことで生じた混乱を避けるため、**「ダブルネーム」**と呼ばれる特徴的なパッチが登場しました。これは以前の型番を左端に小さく印字したもので、新旧の型番が二つ印字されているのが特徴です。

1967年から69年にかけては、ダブルネームに代わって小さい文字でアルファベット（A、S、F、I）が印字された**「タイプ物」**と呼ばれるパッチが使用されました。これらのアルファベットが何を意味していたのかは現在でも不明ですが、ランクや出荷先を示していたという説があります。

1970年代に入ると、パッチには**「CARE INSTRUCTIONS INSIDE GARMENT」**（お手入れ方法は内側参照）という印字が現れるようになります。これは内タグの導入と連動しており、消費者により詳細な情報を提供する姿勢の現れと言えるでしょう。

印字の色にも注目すべき変化があります。1970年代から1980年代中期までは黒字での印刷でしたが、1980年代中期以降は赤字での印刷に変更されました。この変更により、よりモダンで目立つデザインとなりました。

パッチの印字内容を読み解くことで、そのアイテムがいつ頃製造されたものか、どのような時代背景の中で作られたものかを理解することができます。これは単なる年代判別を超えて、リーバイスという企業の歴史や、アメリカの産業史を学ぶことにもつながる貴重な体験と言えるでしょう。

内タグは1974年以降に導入された製造年月の確実な証拠

内タグは、リーバイス製品の年代判別において最も正確な情報を提供してくれる要素の一つです。1974年以降に導入されたこのタグには、製造年月や工場番号などの詳細な情報が記載されており、推測に頼らない確実な年代判別が可能になります。

内タグの導入は、消費者保護法の強化や品質管理の向上という時代背景を反映しています。1970年代に入ると、製品の品質や安全性に対する消費者の関心が高まり、より詳細な製品情報の提供が求められるようになりました。リーバイスもこの流れに対応し、内タグという形で詳細な製品情報を提供するようになったのです。

🏷️ 内タグの年代別特徴

年代	タグの特徴	記載方法	判別ポイント
1974年〜1985年	3行の数字羅列	月/年下2桁/工場番号	印刷方法が特殊
1985年〜1988年	右下連続数字	月/年下1桁	タグデザイン変更
1988年〜1994年	7行表示	6行目工場、7行目年月	染み込みプリント
1991年〜1994年	薄い生地使用	2行の数字列	工場/年月/製造番号
1995年〜2003年	モダンデザイン	より整理された配置	刺繍タグ導入

1974年に導入された初期の内タグは、数字の羅列が3行に分かれて記載されており、製造年月と工場番号が一番下の行に記載されています。書かれる順番は、左から製造月、製造年の下2桁、そして工場番号となっています。この初期タグは現在のものとは異なる印刷方法や生地を使用しており、独特の質感を持っています。

1980年代後半になると、内タグに書かれている文字の量が増え、7行になりました。6行目には工場番号が、7行目には製造年月が記載されるようになりました。この時代の内タグの特徴は、製造年が下1桁しか書かれておらず、製造月と製造年の数字が繋がっていることです。

💡 内タグ読み取りの具体例

例：「524 0298 047068-6」の場合
- 524：工場番号（エルパソ工場）
- 02：製造月（2月）
- 98：製造年（1998年）
- 047068-6：製造番号

1991年から1994年にかけて製造されたモデルの内タグは、それまでのものと比較して薄い生地が使用されていることが特徴です。この内タグには一番上に数字、その下に洗濯時などの注意点が書かれ、さらにその下に2行の数字の列が記載された構造となっています。

1995年以降の内タグは、よりモダンなデザインに変更され、情報の配置も整理されました。この時期の内タグには刺繍技術も導入され、より高品質で読みやすいものとなりました。

内タグを確認する際の注意点として、洗濯による色落ちや摩耗により文字が読めなくなっている場合があります。特に古い年代のものほど、この現象が起こりやすくなります。また、内タグが取れてしまっている場合もありますので、その際は他のディテールと組み合わせて判断する必要があります。

内タグの情報は、古着購入時の重要な判断材料となります。特に高価なヴィンテージアイテムを購入する際は、内タグの内容を必ず確認し、セラーの説明と一致しているかを検証することが重要です。

ステッチパターンの違いは縫製技術の進歩を表している

リーバイスのデニムジャケットにおけるステッチパターンの変化は、単なるデザインの変更以上の意味を持っています。これらの変化は、縫製技術の進歩や製造効率の向上、さらには品質管理の発展を表しており、アメリカの繊維産業史の一端を物語る貴重な記録でもあります。

最も重要なステッチパターンの変化は、1977年を境に起きました。この年を境に、バックポケット裏のステッチパターンがシングルステッチからチェーンステッチへと変更されたのです。この変更は、製造効率の向上と品質の均一化を目的としたものでした。

🔧 ステッチパターンの技術的変遷

年代	ステッチタイプ	特徴	技術的背景
〜1977年	シングルステッチ	バックポケット裏が一重縫い	手作業的要素が強い
1977年〜	チェーンステッチ	より強固で均一な縫製	機械化の進歩
1960年代まで	Vステッチ	フロントボタン周辺	返し縫い機構なし
1970年代〜	直線ステッチ	シンプルで効率的	大量生産体制

Vステッチは、1960年代まで見られる特徴的なステッチパターンです。これは、当時のミシンに返し縫い機構がなかった時代の名残で、フロントボタン周辺にV字型の折り返しステッチが施されていました。このVステッチの存在は、そのアイテムが1960年代以前の製造であることを示す確実な証拠となります。

ステッチの色にも注目すべき変化があります。初期のモデルでは黄色味がかったオレンジ色のステッチが使われていることが多いのに対し、後期のモデルではより赤みの強いオレンジ色のステッチが使われる傾向があります。これは、染料や糸の品質向上による変化と考えられます。

バックポケットのアーキュエイト（弓形）ステッチも重要な判別ポイントです。このカーブの形状や深さ、ステッチの太さは年代によって微妙に変化しており、熟練したコレクターはこれらの違いからも年代を推測することができます。

🎯 アーキュエイトステッチの年代別特徴

1950年代：カーブが深く、ステッチが太め
1960年代：カーブがやや浅くなり、ステッチが細くなる
1970年代以降：より標準化されたパターン

ステッチパターンの変化は、リーバイス社の製造哲学の変化も反映しています。初期のワークウェア時代は、耐久性を最優先とした機能的なステッチが重視されていました。しかし、ファッションアイテムとしての地位が確立されるにつれて、見た目の美しさや均一性も重要視されるようになりました。

現代の復刻版（LVC等）では、これらの歴史的なステッチパターンが忠実に再現されています。しかし、現代の高度な縫製技術により、オリジナルよりもさらに精密で美しい仕上がりとなることが多く、この点でもヴィンテージと復刻版を区別することができます。

ステッチパターンの知識は、古着の真贋判定にも役立ちます。偽物や粗悪なレプリカでは、これらの細かいディテールが正確に再現されていないことが多く、ステッチパターンを確認することで本物かどうかを判断する手がかりとなります。

白タブとオレンジタブは特定用途向けの希少なバリエーション

リーバイスの白タブとオレンジタブは、一般的な赤タブとは異なる特別な意味を持つレアなバリエーションです。これらのタブは特定の用途や市場向けに製造されたもので、現在では希少価値の高いヴィンテージアイテムの証として、コレクターの間で特別視されています。

白タブは、主に1970年代から1980年代にかけて使用されていた特徴的なタグで、デニム以外の特殊なアイテムが主流でした。リーバイスの資料によると、「ワークを想定していないパンツ」に白タブが使用されていたとの記載があり、ファッション性を重視した特別なラインとして位置づけられていました。

🎯 白タブ製品の特徴

製品タイプ	素材	年代	特徴
シャツジャケット	縦落ちデニム	1970年代初期	ビッグE、希少価値高
コーデュロイパンツ	コーデュロイ	1970年代	ファッション重視
コットンチノパンツ	コットンツイル	1970年代	カジュアル用途
カラーデニムパンツ	デニム	1990年代	551等の特殊仕様

白タブ付きシャツジャケットは、1970年代初期の貴重なモデルとして特に注目されています。これらは縦落ちするデニム生地が使用されており、後期モデルがシャンブレー調の生地へと変化していったのとは対照的です。また、1970年代の白タブにはビッグEの特徴がある製品も存在し、白タブとビッグEの両方の特徴を持つアイテムは、コレクター垂涎の逸品となっています。

オレンジタブは、1960年代後半に登場し、1970〜80年代に最盛期を迎えた廉価ラインの証です。作業着ほどの耐久性は求められない、よりファッション性を重視した製品に使用されました。オレンジタブ製品は、赤タブ製品と比較して軽量で着心地が良く、当時の若者文化に合わせた製品として人気がありました。

💰 タブ別希少価値ランキング

タブの色	希少度	使用年代	主な用途
白タブ	★★★★★	1970年代〜1980年代	デニム以外の特殊製品
®マークのみ	★★★★☆	各時代に少数存在	ブランクタブ
オレンジタブ	★★★☆☆	1960年代後半〜1980年代	廉価ライン
黒タブ	★★☆☆☆	特定時期	混紡素材（スタプレ等）
赤タブ	★☆☆☆☆	1936年〜現在	メイン製品

90年代になると、白タブ製品にはチュニジア製などUSA製以外のものも登場しました。これはリーバイスのグローバル展開の一環で、品質は維持しながらもコストを抑えた製品として製造されました。しかし、コレクターの間ではUSA製の白タブ製品が特に高い価値を持つとされています。

黒タブは混紡素材に使用されるタブで、主にスタプレ（プレスの効いたスラックス）に取り付けられていました。これらのスタプレは綿とポリエステルなどの混紡素材で作られることが多く、黒タブで識別できるようになっていました。

白タブやオレンジタブを見つけた際は、その製造背景や年代を詳しく調べることで、アイテムの真の価値を理解することができます。特に初期の白タブ付きシャツジャケットなどは、リーバイスの歴史の中でも特別な位置を占める貴重なアイテムとして、大切に保管する価値があるでしょう。

偽物を見分けるポイントは細部のディテールへのこだわり

リーバイスのデニムジャケットが人気である反面、偽物や粗悪なコピー品も市場に多く出回っています。本物と偽物を見分けるためには、リーバイスが長年培ってきた細部のディテールへのこだわりを理解し、それらが正確に再現されているかを確認することが重要です。

偽物の多くは、一見すると本物に似ていますが、製造コストを抑えるため、または技術的な限界により、細かいディテールが省略されたり不正確に再現されていることがほとんどです。これらの違いを見抜くことで、購入前に偽物を避けることができるでしょう。

🔍 真贋判定の重要チェックポイント

チェック項目	本物の特徴	偽物によくある問題
ボタン裏刻印	時代に応じた正確な刻印	不正確、存在しない番号
ステッチの質	均一で美しい	雑、糸の品質が劣る
タブの刺繍	時代に応じた正確な表記	フォントが不正確、位置がずれ
パッチの印字	年代に対応した正確な内容	印字内容が時代と合わない
素材の質感	厚手で上質なデニム地	薄手、化学繊維混入
金属パーツ	重厚感のある品質	軽い、すぐに錆びる

ボタン裏刻印は、最も確実な真贋判定ポイントの一つです。本物のリーバイスでは、各時代に対応した正確な工場番号が刻印されています。偽物では、存在しない番号が刻印されていたり、時代と合わない番号が使用されていることがあります。また、刻印の深さや字体も本物とは異なることが多く、注意深く観察すれば違いを見分けることができます。

ステッチの品質も重要な判断基準です。本物のリーバイスでは、長年の技術蓄積により非常に美しく均一なステッチが施されています。偽物では、ステッチが不均一だったり、使用されている糸の品質が劣っていることが多く、特にアーキュエイトステッチなどの複雑な縫製では顕著に差が現れます。

🚨 偽物によくある特徴

ボタン裏に存在しない工場番号
タブの位置や角度が不自然
ステッチが雑で糸がほつれやすい
パッチの印字内容が年代と一致しない
デニム地が薄く、本来の質感と異なる
金属パーツの質感が軽く安っぽい

赤タブの刺繍も確認すべきポイントです。本物では、各年代に応じて正確なフォントや文字サイズが使用されています。偽物では、文字のバランスが悪かったり、刺繍の密度が異なったりすることがあります。特にビッグEとスモールeの違いは、偽物では正確に再現されていないことが多いです。

素材の質感にも注目しましょう。本物のリーバイスデニムは、特有の厚みと質感を持っています。偽物では、コストを抑えるために薄手の生地を使用したり、化学繊維を混入させたりしていることがあります。手で触れた時の感触や、生地の重量感で違いを感じ取ることができます。

金属パーツ（ボタンやリベット）の重量感も判断材料となります。本物では、高品質な金属が使用されており、適度な重量感があります。偽物では、軽量な合金を使用していることが多く、持った時の感触で違いがわかります。

購入時の注意点として、信頼できる販売者から購入することが最も重要です。古着専門店やヴィンテージショップなど、専門知識を持つ販売者であれば、商品の真贋についても責任を持って対応してくれるでしょう。また、オンラインで購入する際は、商品の詳細写真をよく確認し、不明な点は購入前に質問することをおすすめします。

まとめ：リーバイスタグ年代ジャケットの判別は総合的な視点が重要

最後に記事のポイントをまとめます。

リーバイスのデニムジャケットは506XX（ファースト）、507XX（セカンド）、557XX（サード）、70505（フォース）の4つの時代に大別される
型番の確認がタグで年代判別する最初のポイントであり、パッチに記載された数字から製造時期を推定できる
ファーストの506XXは1937年から1953年製造で、シンチ・バックルと短いシルエットが特徴的である
セカンドの507XXは胸ポケットが2つになり、アジャスターベルトが採用された1950年代のモデルである
サードの557XXはV字ステッチと埋め込み型ポケットが印象的な1960年代の人気モデルである
フォースの70505は着丈が長くなりオレンジ糸ステッチが特徴的な1970年代以降のモダンスタイルである
赤タブのビッグEとスモールeの違いにより1971年前後の判別が可能である
ボタン裏刻印は一桁、二桁、三桁、四桁の変遷で工場番号と製造年代を特定できる
パッチの素材と印字内容は鹿革から紙への変更、Every Garment Guaranteedの有無などで年代判別ができる
内タグは1974年以降に導入され製造年月の最も正確な判別方法となっている
ステッチパターンは1977年を境にシングルステッチからチェーンステッチに変更された
白タブはデニム以外の特殊製品に使用され、オレンジタブは廉価ラインの証である
偽物判別には細部のディテールへのこだわりを確認することが重要である
真贋判定では総合的な視点で複数の要素を組み合わせて判断することが必要である
リーバイスジャケットの年代とタグの関係を理解することでヴィンテージデニムの真の価値がわかるようになる

調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト

https://jamtrading.jp/blogs/jam/1017085/
https://vintege-collection.hatenablog.com/entry/2022/01/17/205934
https://www.reddit.com/r/poshmark/comments/d9bm6u/can_anyone_help_me_identify_this_levis_jacket/
https://levi-fun.com/ribaisu-white-tab-nendai/
http://vintagematome.com/post-823-823
https://note.com/storagech/n/nb2a7942d2abb
https://hurugiblog.com/levis-inner-tag
https://note.com/vintajin/n/n943224780ae4

リーバイス

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