リーバイス 赤タブとは、1936年から続くリーバイスジーンズの象徴的なアイコンで、バックポケットに付けられた小さな赤いリボンタブのことです。この赤タブは単なる装飾ではなく、遠目でもリーバイスジーンズと識別できるよう考案された実用的なマーキングシステムでもあります。
ジーンズ愛好家やヴィンテージコレクターの間では、赤タブの細かな仕様の違いによって製造年代を特定する重要な手がかりとして活用されています。片面タブから両面タブへの変化、VのフォントやEの大文字・小文字の違い、さらには稀に存在するブランクタブ(®のみ)など、知れば知るほど奥深い世界が広がります。本記事では、これらの詳細な変遷と見分け方について、どこよりもわかりやすく解説していきます。
この記事のポイント |
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✅ リーバイス赤タブの誕生背景と目的がわかる |
✅ 年代別の赤タブの特徴と変遷が理解できる |
✅ ヴィンテージジーンズの年代判別法が身につく |
✅ 希少なブランクタブについての知識が得られる |
リーバイス赤タブとは何かを徹底解説
- リーバイス赤タブとは1936年に誕生したブランドアイコン
- 赤タブが生まれた理由はロデオ大会での識別困難な状況
- 片面タブ時代は1936年から1953年まで続いた
- 両面タブ均等Vは1953年から1966年の特徴
- 両面タブ不均等Vは1966年から1974年まで採用
- スモールeタブは1974年以降の現代まで続く仕様
リーバイス赤タブとは1936年に誕生したブランドアイコン
リーバイス赤タブの正式名称は「レッドタブ」で、リーバイス社の右側バックポケットに取り付けられた小さな赤いリボン状のタブを指します。この赤タブは1936年9月1日に正式に使用開始され、1937年6月にはトレードマークとして申請、1938年に商標登録されました。
赤タブのデザインは非常にシンプルで、赤い生地に白い文字でブランド名が織り込まれています。当初は社名「LEVI’S」が刺繍されていましたが、時代と共に様々な変化を遂げてきました。この小さなタブが、後にジーンズ界で最も有名なアイコンの一つとなることは、当時誰も予想していなかったでしょう。
📊 赤タブの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
誕生年 | 1936年 |
考案者 | セールスマネージャー クリス・ルシエ |
正式使用開始 | 1936年9月1日 |
トレードマーク申請 | 1937年6月 |
商標登録完了 | 1938年 |
現在でも赤タブは継続して使用されており、リーバイスジーンズを象徴する重要なデザイン要素として機能し続けています。この赤タブを見るだけで、多くの人が「リーバイス」というブランドを連想できるほど、強力なブランドアイコンとして定着しています。
特筆すべきは、赤タブがデニムのインディゴブルーとのコントラストを生み出し、非常に目立ちやすいデザインになっていることです。これは偶然ではなく、遠くからでも識別しやすくするという実用的な目的があったからです。1940年代から1950年代の広告には「Look for the Red Tab」という文言が頻繁に使用されており、赤タブがブランド識別の重要な役割を果たしていたことがわかります。
赤タブが生まれた理由はロデオ大会での識別困難な状況
リーバイス赤タブが誕生した背景には、1930年代のアメリカ西部で開催されていたロデオ大会での実用的な問題がありました。当時、カウボーイたちが着用するジーンズは遠目から見るとどこのメーカーの製品か判別が困難で、リーバイス社のセールスマネージャーであったクリス・ルシエがこの問題に着目したのです。
ルシエは「ロデオ大会で着用しているジーンズがどこのメーカーのものか、遠目では中々判別がつきにくい」という課題を解決するために、リボンの生地をバックポケットに付けて目印にすることを提案しました。この革新的なアイデアは、単なる装飾ではなく実用性を重視したマーケティング戦略だったのです。
🎯 赤タブ誕生の背景要因
要因 | 詳細 |
---|---|
場所 | アメリカ西部のロデオ大会 |
問題 | 遠距離からのブランド識別困難 |
提案者 | クリス・ルシエ(セールスマネージャー) |
解決策 | バックポケットへのリボン取り付け |
目的 | 遠目でもリーバイスと識別可能にする |
さらにルシエは、リボンが付いていることで「街中でもすぐにリーバイスジーンズって見分けがつく」という追加的なメリットも考慮していました。これは現代のブランディング戦略に通じる先見性のある発想で、視覚的な差別化によるブランド価値の向上を狙ったものでした。
この提案に基づいて、社名を白地で織り込んだ赤のリボンが右のバックポケットに付けられることになりました。赤色が選ばれた理由は、デニムの青色との対比が最も美しく、かつ遠くからでも最も視認性が高い色だったからです。実際、赤色は心理学的にも最も注意を引く色として知られており、マーケティング効果も期待されていました。
この赤タブのアイデアは大成功を収め、後に数多くのジーンズメーカーが同様のタブを真似するほどの影響力を持つようになりました。リーバイス社はその後、数多くの模倣品や偽造品との戦いを続けることになりますが、赤タブはそれらから本物を見分ける重要な指標として機能し続けています。
片面タブ時代は1936年から1953年まで続いた
リーバイス赤タブの最初期である片面タブ時代は、1936年から1953年まで約17年間続きました。この時代の赤タブは、表側のみに「LEVI’S」の刺繍が施され、裏側は無地という特徴的な仕様でした。現在では両面に刺繍が入っているのが当たり前ですが、当初は製造コストや技術的な制約もあり、片面のみの刺繍となっていました。
片面タブ時代の大きな特徴として、®マーク(レジスターマーク)が付いていないことが挙げられます。これは商標登録が完了した直後でも、まだレジスターマークを表示する慣習が定着していなかったためと推測されます。また、この時代のタブは現在のものと比べて若干サイズが小さく、刺繍の糸も細めでした。
📋 片面タブ時代の特徴一覧
特徴 | 詳細 |
---|---|
期間 | 1936年〜1953年頃 |
刺繍面 | 表側のみ |
裏面 | 無地 |
レジスターマーク | なし |
材質 | レーヨン素材 |
片面タブ時代の赤タブを持つヴィンテージジーンズは、現在では非常に希少価値が高く、コレクターの間では垂涎の的となっています。特に第二次世界大戦中の1942年から1946年に製造された「大戦モデル」や「S501XX」と呼ばれるモデルに付いている片面タブは、戦時中の物資統制という歴史的背景も相まって、極めて高い価値を持っています。
この時代の赤タブを見分ける際のポイントは、まず表面に「LEVI’S」の文字があることを確認し、裏面をチェックして無地であることを確認することです。また、®マークがないことも重要な判別要素となります。ただし、当時のジーンズは実際に労働着として使用されていたため、タブが摩耗や洗濯によって傷んでいる場合も多く、状態の良いものを見つけるのは困難です。
片面タブ時代の終期である1953年頃は、アメリカ経済が戦後復興を果たし、製造技術も向上していた時期でした。この頃からリーバイス社はより精密で耐久性の高い両面タブへの移行を開始し、現在まで続く赤タブの基本形が完成することになります。
両面タブ均等Vは1953年から1966年の特徴
1953年から始まった両面タブ時代は、リーバイス赤タブの歴史において重要な転換点となりました。この時期の最大の特徴は、タブの両面に「LEVI’S」の刺繍が施されるようになったことと、初めて®マーク(レジスターマーク)が登場したことです。そして、この時代の赤タブを特徴づけるのが「均等V」と呼ばれる、「LEVI’S」のVの字が左右均等の太さで刺繍されているデザインです。
均等V時代の赤タブは、従来の片面タブと比較して格段に品質が向上していました。両面刺繍によって耐久性が増し、レジスターマークの追加によって商標としての地位も確立されました。この時期のタブは現在のものに近い完成度を持っており、リーバイスの品質向上への取り組みが表れています。
🔤 均等V時代の文字デザイン特徴
要素 | 特徴 |
---|---|
V字の太さ | 左右完全に均等 |
刺繍面 | 表面・裏面両方 |
レジスターマーク | ®マーク初登場 |
全体的な印象 | バランスの取れたデザイン |
製造技術 | 向上した精密さ |
この時期のヴィンテージジーンズを年代判別する際、均等Vは非常に重要な手がかりとなります。1953年から1966年まで約13年間という長期にわたって使用されていたため、この間に製造された501XXやその他のモデルに共通して見られる特徴です。特に1950年代後半から1960年代前半にかけてのモデルは、戦後の技術革新と品質向上が反映された優秀な製品として、現在でも高く評価されています。
均等V時代の赤タブを持つジーンズは、革パッチから紙パッチへの移行期とも重なっているため、同じ均等Vでも前期は革パッチ、後期は紙パッチという違いがあります。これらの組み合わせによって、より詳細な年代特定が可能になります。また、この時期のボタンやリベットなどの細部にも時代特有の特徴があるため、総合的な判断が重要です。
均等V時代の終了時期である1966年頃は、アメリカ社会が大きく変化していた時代でもありました。ベトナム戦争の激化、公民権運動の高まり、若者文化の台頭など、社会情勢の変化に伴ってジーンズの位置づけも変わり始めており、リーバイスもより現代的なデザインへと進化していく転換期だったのです。
両面タブ不均等Vは1966年から1974年まで採用
1966年から1974年まで採用された不均等V時代は、リーバイス赤タブの歴史において最もドラマチックな変化を遂げた時期の一つです。この時期の最大の特徴は、「LEVI’S」の文字の「V」が左側太く、右側細いというアンバランスなデザインに変更されたことでした。この変更は単なるデザイン上の変更ではなく、製造技術の進歩と効率化を反映したものでした。
不均等V時代のもう一つの重要な変化は、タブの素材がレーヨンからポリエステルへと変更されたことです。レーヨン素材のタブは洗濯によって丸まってしまうという問題があったため、より耐久性の高いポリエステル素材が採用されました。これにより、タブの形状保持性が大幅に向上し、長期間使用してもきれいな状態を保てるようになりました。
⚡ 不均等V時代の技術革新
改良点 | 従来 | 不均等V時代 |
---|---|---|
V字デザイン | 左右均等 | 左太・右細 |
素材 | レーヨン | ポリエステル |
耐久性 | 普通 | 向上 |
形状保持 | 丸まりやすい | 形状維持 |
製造効率 | 標準 | 改善 |
この時期は、アメリカでヒッピー文化が全盛期を迎え、ジーンズがファッションアイテムとして注目され始めた時代でもありました。従来の作業着という枠を超えて、若者のカジュアルファッションの代表格となったジーンズに対する需要が急激に増加し、リーバイスもより効率的で品質の高い製造方法を模索していました。
不均等V時代の赤タブを見分けるコツは、まず「V」の文字に注目することです。左側の線が明らかに太く、右側が細くなっているのが確認できれば、この時代の特徴と判断できます。また、タブの質感もポリエステル素材特有のハリとツヤがあり、レーヨン素材と比較すると明らかに違いがわかります。
この時期の終わりである1974年頃は、リーバイス社が株式公開を控えており、企業としての大きな変革期を迎えていました。そのため、ブランドロゴの表記方法についても見直しが行われ、次の時代である「スモールe」時代への移行が準備されていたのです。不均等V時代は、伝統的なワークウェアメーカーから現代的なファッションブランドへの変身を象徴する重要な過渡期だったと言えるでしょう。
スモールeタブは1974年以降の現代まで続く仕様
1974年に始まったスモールeタブ時代は、リーバイス赤タブの歴史において現在まで続く最も長い時代となっています。この時代の最大の特徴は、それまでの「LEVI’S」表記から「Levi’s」への変更で、特に「E」が小文字の「e」になったことから「スモールeタブ」と呼ばれています。この変更は1971年のリーバイス社の株式公開に伴うブランドイメージの刷新の一環として行われました。
スモールe時代初期の赤タブは、まだ刺繍で文字が施されていました。しかし1982年頃を境に、刺繍からプリントへと製造方法が大きく変わりました。プリントタブの登場は製造コストの削減と大量生産の効率化を目的としており、当初は偽物と勘違いされることもあったほどの大きな変化でした。
📈 スモールe時代の変遷
期間 | 製造方法 | 特徴 |
---|---|---|
1974年〜1982年 | 刺繍タブ | 手作業による高品質な仕上げ |
1982年〜現在 | プリントタブ | 機械による効率的な大量生産 |
2018年〜 | ビッグE復活 | 45年ぶりの復刻デザイン |
興味深いことに、2018年にはビッグEの赤タブが45年ぶりに復活しました。これは主要商品に対してビッグEの赤タブが再び付けられるようになったもので、ヴィンテージファンやコレクターの間で大きな話題となりました。ただし、これは復刻版であり、オリジナルのビッグE時代(1967-1973年)とは製造技術や品質基準が異なります。
スモールe時代の赤タブを判別する際の最重要ポイントは、文字表記が「Levi’s」になっていることです。また、1982年以降のプリントタブは刺繍タブと比較すると平面的で、触った感じも異なります。刺繍タブは糸の立体感があるのに対し、プリントタブは平らで滑らかな仕上がりになっています。
現代のリーバイスジーンズに付いている赤タブは、基本的にすべてこのスモールeタブの系譜に属します。約50年という長期間にわたって使用されているため、この間に製造されたジーンズの量は膨大で、ヴィンテージ市場においても比較的入手しやすいカテゴリーとなっています。ただし、初期の刺繍スモールeタブ(1974-1982年)は、プリントタブと比較するとやや希少価値があります。
リーバイス赤タブとは年代判別の重要な手がかり
- ®マークのみのブランクタブは希少性の高い特別仕様
- 赤タブの年代判別法はヴィンテージ愛好家の必須知識
- 501XXとビッグEモデルの赤タブには決定的な違いがある
- 66モデル時代の赤タブは初心者にもおすすめの入門編
- 赤タブの偽物や後付けを見分ける方法
- 赤タブと他のディテールを組み合わせた総合判定法
- まとめ:リーバイス赤タブとはブランドの歴史そのもの
®マークのみのブランクタブは希少性の高い特別仕様
リーバイス赤タブの中でも特に希少価値が高いのが、ブランド名が入らず®マークのみが刺繍された「ブランクタブ」です。このブランクタブは正式名称ではありませんが、アメリカのリーバイス関係者の間では「blank tab」または「blank red tab」と呼ばれており、完全にブランクではないため「with just the ® symbol」と付記されることもあります。
ブランクタブの存在理由について、リーバイス社は「タブ自体がレジスタード・トレードマーク(商標登録)であることを示すため」と説明しています。つまり、タブに「LEVI’S」と書かれていることが商標登録なのではなく、タブそのものがリーバイスの商標登録であることを明確に示すために、あえて社名なしの®マークのみのバージョンを定期的に製造しているのです。
🎲 ブランクタブの希少性データ
項目 | 詳細 |
---|---|
出現率 | 全体の約10%(リーバイス社発表) |
初登場時期 | 1970年代頃(推定) |
70年代の出現率 | 約2-5%(推定) |
80年代以降の出現率 | 約10% |
60年代以前の存在 | 極めて稀(確認例あり) |
ブランクタブは通常の赤タブと同じ製造ラインで作られますが、出現する割合は約10%と限定的です。1970年代頃の出現率はさらに低く、約2-5%程度だったと推測されています。特に60年代以前のブランクタブは極めて希少で、実際に確認された例は非常に少ないとされています。
ブランクタブを見つけた際の判別ポイントは、®マークの位置と大きさです。通常のネーム入りタブと比較すると、®マークが相対的に大きく表示されていることが多く、タブの中央やや下部に配置されています。また、ブランクタブが付いているジーンズは、それだけで希少性が高まるため、コレクター価値も上昇します。
ただし、ブランクタブには注意すべき点もあります。60年代以前のジーンズの場合、長年の使用によってタブが損傷し、後から取り付け直される場合があります。このような後付けタブの場合、周辺のステッチが他の部分と微妙に異なることがあるため、購入時には慎重な確認が必要です。本物のブランクタブかどうかを判断するには、タブ周辺のステッチの状態、糸の色合い、全体的な経年変化の統一性などを総合的に評価することが重要です。
赤タブの年代判別法はヴィンテージ愛好家の必須知識
リーバイス赤タブによる年代判別は、ヴィンテージジーンズの世界において最も基本的で重要な知識の一つです。赤タブの細かな仕様の違いを理解することで、製造年代をかなり正確に特定することができ、それがジーンズの価値判定にも直結します。プロのヴィンテージディーラーやコレクターは、赤タブを一目見ただけで大まかな年代を判断できるほどの知識を持っています。
年代判別の基本的な流れは、まず刺繍の面数(片面か両面か)を確認し、次にフォントの特徴(均等Vか不均等Vか)を見て、最後に大文字・小文字の表記(BigEかスモールeか)をチェックすることです。これらの組み合わせによって、製造年代をかなり絞り込むことができます。
🔍 年代判別チャート
年代 | 面数 | Vの形状 | 文字表記 | レジスターマーク |
---|---|---|---|---|
1936-1953 | 片面 | – | LEVI’S | なし |
1953-1966 | 両面 | 均等V | LEVI’S | ®あり |
1966-1974 | 両面 | 不均等V | LEVI’S | ®あり |
1974-現在 | 両面 | 不均等V | Levi’s | ®あり |
実際の判別作業では、照明の当て方や見る角度によって細部の確認が困難な場合があります。特に古いヴィンテージジーンズの場合、経年変化や色褪せによって刺繍が見えにくくなっていることも多いため、ルーペなどの拡大器具を使用することも重要です。また、タブの材質感(レーヨンかポリエステルか)も判別の手がかりとなります。
年代判別において注意すべきは、赤タブだけで全てを判断しないことです。同じ時期でも製造ロットや工場によって微細な違いがあったり、移行期には新旧の仕様が混在することもあります。そのため、パッチ、ボタン、ステッチなど他のディテールと総合的に判断することが正確な年代特定には不可欠です。
また、近年では復刻版やレプリカジーンズも多数製造されており、これらは意図的にヴィンテージ仕様を再現しているため、赤タブだけでは判別が困難な場合があります。全体的な作りの精度、使用されている生地の質感、金属パーツの仕上げなど、総合的な観点からの判断が求められます。
501XXとビッグEモデルの赤タブには決定的な違いがある
リーバイスヴィンテージの中でも特に人気が高い501XXとビッグEモデルですが、これらの赤タブには決定的な違いがあり、それぞれの時代背景と技術的特徴を反映しています。501XX時代(1946年-1966年頃)は戦後復興期から高度経済成長期にかけての製品であり、ビッグEモデル(1967年-1973年頃)は激動の1960年代後半から1970年代初頭の製品です。
501XX時代の赤タブの最大の特徴は、不均等Vが登場する前の均等Vであることです。この時代のVフォントは左右が完全に対称で、バランスの取れた美しいデザインになっています。また、501XX時代前期の一部には片面タブも存在し、これらは現在では極めて希少価値が高い逸品とされています。刺繍の質も手作業による精密なもので、現代の機械刺繍とは明らかに異なる味わいがあります。
⭐ 501XX vs ビッグEモデル 赤タブ比較
特徴 | 501XX (1946-1966) | ビッグEモデル (1967-1973) |
---|---|---|
Vフォント | 均等V | 不均等V(左太・右細) |
E表記 | 大文字「E」 | 大文字「E」 |
刺繍品質 | 手作業による精密刺繍 | 機械化による均質刺繍 |
材質 | レーヨン(前期)→ポリエステル(後期) | ポリエステル |
希少性 | 極めて高い | 高い |
一方、ビッグEモデルの赤タブは不均等Vが特徴的で、左側が太く右側が細いVフォントが使用されています。これは製造技術の進歩により、より効率的な刺繍方法が採用された結果です。ビッグEモデル時代は大量生産体制が確立された時期でもあり、品質の均一性が向上していました。
両者の違いを実際に見分ける際は、まずVフォントの形状を確認することが最も確実な方法です。501XX時代の均等Vは一度見ると忘れられないほど特徴的で、左右のバランスが完璧に取れています。これに対してビッグEモデルの不均等Vは現代的な印象があり、より動的なデザインとなっています。
これらの違いは単なるデザイン変更ではなく、それぞれの時代の製造技術、社会背景、ファッション動向を反映したものです。501XX時代は職人的な手作業が重視されていた時代であり、ビッグEモデル時代は工業化と効率化が進んだ時代でした。そのため、赤タブの違いからも当時の時代精神を感じ取ることができます。
66モデル時代の赤タブは初心者にもおすすめの入門編
1973年から1980年頃に製造された66モデルは、ヴィンテージジーンズ入門者にとって最適な選択肢とされています。66モデルの名前の由来は、新品時にバックポケットに付けられているフラッシャー(紙ラベル)に記載された「©1966」の表示からきており、これは1966年にデザインされたことを示しています。この時代の赤タブは、現代のスモールeタブの初期型にあたり、比較的入手しやすい価格帯でヴィンテージの魅力を楽しむことができます。
66モデル時代の赤タブは「Levi’s」表記のスモールeで、不均等Vフォントが使用されています。初期は刺繍タブですが、1982年頃からプリントタブに移行するため、66モデルは刺繍スモールeタブの代表格となっています。この時代の刺繍は機械化が進んでいたため、手作業による501XX時代ほどの味わいはありませんが、十分に高品質で現在でも美しい状態を保っているものが多数存在します。
🎯 66モデル赤タブの魅力ポイント
魅力 | 詳細 |
---|---|
入手のしやすさ | 現存数が多く価格も比較的リーズナブル |
品質の高さ | 刺繍スモールeの完成された品質 |
状態の良さ | 製造から40-50年でも良好な個体多数 |
色落ちの美しさ | 前期モデルは縦落ちする美しい色落ち |
コレクション価値 | 将来的な価値上昇の可能性あり |
66モデル時代は前期と後期に分けることができ、赤タブ以外の要素でも判別が可能です。前期(1978年頃まで)はバックポケット入口の折り返し部分がシングルステッチで、後期はチェーンステッチという違いがあります。前期の方がより味わい深い色落ちをする傾向があり、ヴィンテージファンの間では人気が高いとされています。
66モデルの赤タブを持つジーンズは、初心者がヴィンテージの世界に足を踏み入れる際の最良の選択肢です。501XXやビッグEモデルと比較すると価格が手頃でありながら、十分にヴィンテージとしての魅力を持っています。また、現存数が多いため、サイズや状態にこだわって選ぶことも可能です。
コアなヴィンテージファンの中には、66モデルを「最後のヴィンテージ」と位置づける人もいます。これは、この時代以降に製造されたジーンズは現代的すぎて真のヴィンテージとは言えないという考え方に基づいています。そのような観点からも、66モデルの赤タブは特別な意味を持つものとして評価されています。
赤タブの偽物や後付けを見分ける方法
ヴィンテージジーンズ市場の拡大に伴い、赤タブの偽物や後付けタブの問題も深刻化しています。特に高価なヴィンテージモデルにおいては、オリジナルとは異なる赤タブが後から取り付けられているケースがあり、購入時には十分な注意が必要です。偽物や後付けタブを見分けることは、ヴィンテージジーンズコレクターにとって必須のスキルと言えるでしょう。
偽物タブの最も一般的な特徴は、刺繍の品質が劣ることです。オリジナルの赤タブは時代に応じた特有の刺繍技術で作られており、糸の質感、刺繍の密度、文字の正確性などに独特の特徴があります。偽物は往々にして現代の機械で作られているため、当時の技術では不可能な精密さを持っていたり、逆に粗雑な仕上がりになっていたりします。
🔍 偽物・後付けタブの見分け方チェックリスト
チェックポイント | オリジナル | 偽物・後付け |
---|---|---|
ステッチの色合い | 全体的に統一されている | 微妙に色が異なる場合が多い |
糸の経年変化 | 自然で統一された変化 | 不自然または変化なし |
タブ周辺の生地 | 自然な摩耗パターン | 不自然な新しさまたは損傷 |
刺繍の品質 | 時代相応の技術レベル | 現代的すぎるまたは粗雑 |
サイズ・形状 | 時代特有の規格 | 現代規格または不正確 |
後付けタブを見分ける最も確実な方法は、タブ周辺のステッチパターンを詳細に観察することです。オリジナルのタブは製造時にジーンズ本体と同時に縫い付けられているため、ステッチの色合い、糸の種類、縫製パターンが全体と完全に一致しています。後付けの場合は、どんなに精巧に作業されていても、微細な違いが必ず現れます。
また、タブの材質と色合いも重要な判別要素です。ヴィンテージの赤タブは長年の使用により独特の色褪せパターンを示しますが、後付けタブは新しすぎるか、人工的な処理による不自然な経年変化を示すことがあります。特にレーヨン素材の古いタブは、ポリエステル製の現代タブとは明らかに異なる質感と光沢を持っています。
疑わしいタブを発見した場合は、そのジーンズの他のディテールも総合的にチェックすることが重要です。パッチ、ボタン、ステッチなど全ての要素が時代的に一致している必要があり、赤タブだけが異なる時代のものである場合は後付けの可能性が高くなります。高額なヴィンテージを購入する際は、信頼できる専門店で購入するか、複数の専門家の意見を求めることをお勧めします。
赤タブと他のディテールを組み合わせた総合判定法
リーバイスヴィンテージの正確な年代判定には、赤タブだけでなく他の様々なディテールとの組み合わせによる総合的な判断が不可欠です。プロのヴィンテージディーラーは、赤タブ、パッチ、ボタン、ステッチ、生地など複数の要素を同時に確認し、それらの整合性を検証することで高い精度での年代特定を行っています。この総合判定法をマスターすることで、より確実で価値のあるヴィンテージ選びが可能になります。
最も基本となる組み合わせは、赤タブとパッチ(腰ラベル)の関係です。例えば、片面赤タブの時代(1936-1953)は革パッチの時代と重なり、両面均等V赤タブ(1953-1966)は革パッチから紙パッチへの移行期と一致します。これらの対応関係を理解していれば、一つの要素だけでは判断困難な場合でも、複数の証拠を組み合わせることで年代を特定できます。
📊 ディテール別年代対応表
年代 | 赤タブ | パッチ | トップボタン刻印 | ステッチ特徴 |
---|---|---|---|---|
1936-1953 | 片面タブ | 革パッチ | 無刻印または初期刻印 | 手縫いの不均等さ |
1953-1966 | 両面均等V | 革→紙移行期 | 各種刻印 | V字ステッチ採用 |
1966-1974 | 両面不均等V | 紙パッチ | 6刻印中心 | 平行ステッチへ移行 |
1974-現在 | スモールe | 紙パッチ | 各種刻印 | 機械縫製の均一性 |
ボタンの刻印も重要な判定要素です。トップボタンの裏側に刻印されている数字や文字は、製造工場や時期を示しており、赤タブの時代と整合性があるかどうかを確認できます。例えば、「6」刻印は66モデル時代に多く見られ、「555」刻印はバレンシア工場製を示すなど、それぞれに意味があります。
ステッチパターンも年代判定の重要な手がかりです。ヴィンテージ初期のV字ステッチから現代の平行ステッチへの変化、アーキュエイトステッチ(バックポケットの弧状ステッチ)の色や形状の変化など、細かな違いが年代を物語っています。特にアーキュエイトステッチは、イエロー、金茶、オレンジなど時代によって色が変化しており、赤タブと組み合わせることでより正確な年代特定が可能になります。
総合判定を行う際の注意点は、全ての要素が必ずしも同一時期の仕様で統一されているとは限らないことです。製造ロットの違い、工場の違い、移行期の混在などにより、わずかな矛盾が生じることもあります。そのような場合は、大部分の要素が一致している時代を採用し、例外的な要素については製造時期や工場による個体差として理解することが重要です。
まとめ:リーバイス赤タブとはブランドの歴史そのもの
最後に記事のポイントをまとめます。
- リーバイス赤タブとは1936年9月1日に誕生したブランドの象徴的アイコンである
- 赤タブはロデオ大会での識別困難な状況を解決するために考案された実用的なマーキングシステムである
- セールスマネージャークリス・ルシエのアイデアによって「遠目でも識別可能」というコンセプトで開発された
- 片面タブ時代(1936-1953)は表側のみに刺繍が施され®マークは存在しない
- 両面タブ均等V時代(1953-1966)で初めて®マークが登場し両面刺繍となった
- 両面タブ不均等V時代(1966-1974)は左太・右細のアンバランスなVフォントが特徴である
- スモールeタブ時代(1974-現在)は「Levi’s」表記となり現代まで継続している
- ブランクタブ(®のみ)は全体の約10%の割合で存在する希少な特別仕様である
- 年代判別には赤タブの面数・フォント・文字表記・レジスターマークの組み合わせが重要である
- 501XX時代は均等VのビッグE、ビッグEモデル時代は不均等VのビッグEで区別される
- 66モデル時代はヴィンテージ初心者におすすめの入手しやすい刺繍スモールeタブである
- 偽物や後付けタブはステッチの色合い・糸の経年変化・周辺生地の状態で判別可能である
- 正確な年代判定には赤タブとパッチ・ボタン・ステッチなど他のディテールとの総合判断が必要である
- 赤タブの変遷はアメリカ社会の変化と製造技術の進歩を反映している
- 2018年にビッグE赤タブが45年ぶりに復活し話題となった
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://note.com/denimcellar/n/n2cc7438f4304
- https://de-suke.com/how-to-distinguish-levis-red-tab
- https://www.style-eco.com/brand_colum/levi_s/25951.html
- https://ameblo.jp/aderi1111/entry-12864116895.html
- https://www.leon.jp/fashions/6526
- https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13113316708
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