デニムの王様と呼ばれるリーバイスが、1999年から展開していた謎多きラインがリーバイス レッド 全 モデルです。このコレクションは通常のリーバイスとは一線を画すデザイナーズラインとして、ファッション愛好家やコレクターの間で絶大な支持を得てきました。しかし、その詳細な情報は断片的にしか残されておらず、公式でさえ完全なアーカイブを持たないという稀有な存在となっています。
本記事では、コレクター集団「REDの会」の協力を得て作成された年表情報や、各種資料を徹底的に調査し、リーバイス レッドの全貌を明らかにしていきます。1999年のファーストコレクションから2021年の最新復刻まで、各時代の特徴的なモデルやデザインの変遷、そして現在の市場価値まで、どこよりも詳しく解説いたします。
この記事のポイント |
---|
✅ リーバイス レッド 全 モデルの歴代年表と特徴を完全網羅 |
✅ 各コレクション期の代表的なモデルとデザインの詳細解説 |
✅ 現在の市場価値と入手方法についての実用的な情報 |
✅ コレクターが語る秘話と裏情報まで幅広くカバー |
リーバイス レッド 全 モデルの基礎知識と歴史的背景
- リーバイス レッド 全 モデルとは何かを徹底解説
- 1999年から2009年までの第一期コレクション完全ガイド
- 立体裁断シリーズが革命を起こした理由とは
- 対義語コレクションの特徴的なネーミングセンス
- グラスコレクションの独特な加工技術について
- ねじれ期(Twisted RED)の画期的なデザイン哲学
リーバイス レッド 全 モデルとは何かを徹底解説
**リーバイス レッド(Levi’s RED)**は、1999年にスタートしたリーバイスの特殊なデザイナーズラインです。このラインは従来のリーバイスとは完全に異なるコンセプトで展開されており、斬新なデザイン、革新的な加工技術、そして芸術的なアプローチを特徴としています。
通常のリーバイス製品が実用性とクラシックなデザインを重視するのに対し、リーバイス レッドはファッション性とクリエイティビティを最優先に開発されました。そのため、一般的なジーンズファンだけでなく、ファッション業界のクリエイターやアーティストからも高く評価されています。
興味深いことに、リーバイス レッド 全 モデルに関する公式な年表は長らく存在しませんでした。これは各コレクションの発表国・地域が年によって異なること、コレクション自体の停止と分断、そして2000年前後の初期コレクションの情報がネットに残りにくかったことが理由とされています。
📊 リーバイス レッドの基本情報
項目 | 詳細 |
---|---|
開始年 | 1999年 |
停止年 | 2009年(第一期) |
復活年 | 2014年、2021年 |
生産地域 | 主にヨーロッパ(チュニジア、イタリア、スペインなど) |
価格帯 | 通常モデルの2-3倍(当時) |
特徴 | 立体裁断、特殊加工、限定生産 |
このラインの最大の特徴は、ヨーロッパ生産をベースとした高品質な製造にあります。チュニジア、イタリア、スペイン、ルーマニア、トルコなど、各国の優れた縫製技術を活用し、通常のリーバイスでは見られない複雑なデザインや加工を実現していました。
1999年から2009年までの第一期コレクション完全ガイド
リーバイス レッド 全 モデルの第一期は、1999年から2009年まで続いた黄金時代です。この10年間は、デニムの概念を根本から覆すような革新的なデザインが次々と発表されました。各シーズンごとに明確なテーマが設定され、そのテーマに基づいて一貫したコレクションが展開されていたのです。
第一期の特徴として挙げられるのは、シーズンごとの劇的な変化です。従来のファッションブランドのように、前シーズンのデザインを踏襲するのではなく、毎回全く新しいアプローチを取っていました。これにより、各コレクションが独立した芸術作品のような存在になっています。
特に注目すべきは、約350〜400本限定のシグニチャーモデルの存在です。これらは通常モデルよりもさらに実験的で、現在では20万円を超えるプレミアがついているものも珍しくありません。コレクターの間では「1stから4thまでのシグニチャーモデルを揃えることが一つのステータス」とされています。
🎯 第一期の主要コレクション期
期間 | コレクション名 | 主な特徴 |
---|---|---|
1999AW-2000AW | ファーストコレクション | 立体裁断の基礎確立 |
2001SS-2001AW | 対義語・グラス・ねじれ期 | 言葉遊びとガラス加工 |
2002SS-2003SS | Icon RED(2D期) | 平面的デザインの追求 |
2003AW-2004SS | ワーク期 | 作業着からのインスピレーション |
2004AW-2005SS | パンク期 | レザー&ボンテージデザイン |
2005AW-2008SS | タキシード・日本企画期 | フォーマルと和のテイスト |
このように体系的にコレクションを整理してみると、リーバイス レッドのデザイン哲学の変遷が明確に見えてきます。初期の立体裁断から始まり、素材実験、形状実験、文化的要素の取り入れまで、まさにデニムの可能性を極限まで追求した10年間だったと言えるでしょう。
立体裁断シリーズが革命を起こした理由とは
リーバイス レッド 全 モデルを語る上で絶対に外せないのが、立体裁断シリーズの存在です。このシリーズは1999年のファーストコレクションから本格的に始まり、デニム業界に革命的な変化をもたらしました。従来の平面的なパターンカットを根本から見直し、人体の立体的な動きに合わせた設計を採用したのです。
立体裁断の最大の特徴は、穿いた時のシルエットの美しさにあります。通常のジーンズは平面的にカットされているため、実際に穿くと膝部分にシワが寄ったり、股上の部分に不自然な余りが生じたりします。しかし、立体裁断では最初からこれらの問題を想定して、膝が立体的に出るような設計になっています。
代表的なモデルである「ファーストスタンダード」は、リーバイス501にインスパイアされながらも、完全に新しい着用体験を提供しました。股上深めの設定、内側に巻き込むような縮みの強調、そして膝の立体的な表現など、ヴィンテージジーンズの良さと現代的な美しさを両立させています。
🔧 立体裁断技術の詳細
技術要素 | 従来のジーンズ | リーバイス レッド |
---|---|---|
パターン設計 | 平面的カット | 立体的カット |
膝部分 | 平面処理 | 立体的に突出 |
股上部分 | 標準的 | 深めで立体的 |
縫製技術 | 直線縫い中心 | 曲線縫いを多用 |
着用時シルエット | やや不自然 | 非常に美しい |
この技術は単なる見た目の改善だけでなく、着用感の向上にも大きく貢献しました。立体裁断により、歩行時の膝の動き、座る時の股上の調整、全体的な体へのフィット感など、あらゆる面でストレスフリーな着用体験が実現されています。
特に「ファーストコンフォート」というモデルでは、フロントのスラッシュポケットとバックの玉縁ポケットという手の込んだデザインにより、機能性とデザイン性を高次元で融合させています。おそらく現在のテーパードジーンズやスキニージーンズの人気の源流の一つは、このリーバイス レッドの立体裁断技術にあると推測されます。
対義語コレクションの特徴的なネーミングセンス
2001年頃から本格化した対義語コレクションは、リーバイス レッド 全 モデルの中でも特にユニークなネーミングセンスで注目を集めました。このコレクションでは、相反する意味を持つ言葉を組み合わせたモデル名が特徴的で、ファッションの概念的な側面を強く打ち出していました。
最も有名なのは「PASSIVE AGGRESSIVE(受動的攻撃的)」というモデルです。このモデルは裾とポケットについたジッパーと立体裁断のスキニーデザインが印象的で、プレミアがつくほど人気を博しました。その人気は非常に高く、多くの模倣品が世に出回るほどでした。
他にも「HONEST-DISHONEST(正直-不正直)」、「TASTY-TASTELESS(美味しい-味気ない)」、「INSPIRE-UNINSPIRE(刺激する-刺激しない)」、「Responsible-Irresponsible(責任ある-無責任な)」など、哲学的ですらある命名が続きました。
💭 主要な対義語コレクション一覧
モデル名 | 日本語訳 | 特徴 | 希少価値 |
---|---|---|---|
PASSIVE AGGRESSIVE | 受動的攻撃的 | ジッパー付きスキニー | 非常に高い |
HONEST-DISHONEST | 正直-不正直 | クラシックなストレート | 高い |
TASTY-TASTELESS | 美味しい-味気ない | ローライズスキニー | 中程度 |
INSPIRE-UNINSPIRE | 刺激する-刺激しない | ブーツカットデザイン | 高い |
Responsible-Irresponsible | 責任ある-無責任な | ショート丈ブルゾン | 中程度 |
このような対義語を使った命名は、単なる言葉遊びではありません。ファッションという表現手段の二面性や矛盾を表現しているとも解釈できます。美しさと醜さ、伝統と革新、機能と装飾など、ファッションが常に抱える対立概念を、あえて一つのアイテムの中に込めているのです。
特に「PASSIVE AGGRESSIVE」は、現代社会における個人の心理状態を服装で表現するという、心理学的なアプローチも感じられます。受動的でありながら攻撃的という、現代人が抱える複雑な感情を衣服に託している点は、非常に興味深い試みでした。
グラスコレクションの独特な加工技術について
2001SS(春夏)に登場したグラスコレクションは、リーバイス レッド 全 モデルの中でも特に技術的な革新性で注目されたシリーズです。このコレクションの最大の特徴は、デニム表面をガラスのようなツヤに仕上げる特殊加工にありました。おそらくポリウレタンの加工を施すことで、この独特な表面感を実現していたと推測されます。
グラスコレクションで特に有名なのは「1st coat」のグラス加工バージョンです。このモデルでは、ボタンも初期の物と違う特別仕様になっており、ディテールへのこだわりが随所に見られました。表面のガラス質な輝きは、従来のデニムの概念を完全に覆すものでした。
この時期には「LEGAL BANNED – Claw Print」という、カラスに引っ掻かれたようなデザインのモデルも登場しています。このモデルは1stコレクションのデザインの雰囲気を残しつつ、新しいデザイン要素を取り入れており、コレクター心をくすぐる希少性を持っていました。
✨ グラスコレクションの技術的特徴
加工技術 | 効果 | 着用感 | メンテナンス |
---|---|---|---|
ポリウレタンコーティング | ガラス質な光沢 | やや硬め | 特殊クリーニング推奨 |
表面樹脂処理 | 耐久性向上 | 通気性やや劣る | 経年変化あり |
特殊染色技術 | 深みのある色合い | 肌触り良好 | 色落ち注意 |
グラスコレクションのもう一つの特徴は、素材の変化にありました。デニムの素材も薄く、柔らかいものになり、従来のゴワゴワしたデニムとは全く異なる着用感を提供しました。これにより、フォーマルなシーンでも着用できるような、上品なデニムスタイルが実現されています。
興味深いことに、このガラス加工技術は後のファッション業界にも影響を与えたようです。現在でもラグジュアリーブランドで見られる光沢のあるデニム加工の原点の一つは、このリーバイス レッドのグラスコレクションにある可能性が高いと一般的には考えられています。
ねじれ期(Twisted RED)の画期的なデザイン哲学
2001AW(秋冬)から2002SS(春夏)にかけて展開されたTwisted REDコレクション、通称「ねじれ期」は、リーバイス レッド 全 モデルの中でも最も実験的で革新的なシリーズとして記録されています。このコレクションでは、従来のジーンズの概念を根本から覆す「ねじれ」というデザイン哲学を追求しました。
代表的なモデル「Guys Warped Jeans」では、立体裁断において左右の足で異なる縫製方向を採用しています。通常の立体裁断では左右対称にステッチが縫い込まれるのですが、このモデルでは左右の足共に同じ方向に縫い込まれているため、着用時に意図的な「ねじれ」が生じる設計になっています。
この「ねじれ」は単なるデザイン上の遊びではありません。ヴィンテージデニムで自然に発生するねじれ現象を、科学的に分析し、意図的に再現したものです。長年着用したジーンズに見られる美しいねじれを、最初から織り込むという発想は、当時としては革命的でした。
🌀 ねじれ期の技術革新
技術要素 | 従来の方法 | ねじれ期の方法 | 効果 |
---|---|---|---|
ステッチ方向 | 左右対称 | 左右同方向 | 意図的ねじれ |
立体裁断 | 標準的曲線 | 極端な曲線 | 動的シルエット |
素材選択 | 綿100% | レーヨン混 | 柔軟性向上 |
縫製技術 | 直線基準 | 曲線基準 | 自然な着用感 |
特に印象的なのは、この時期のモデルに使用されたレーヨン混のデニム生地です。この素材により、柔らかく揺れるようなソフトな履き心地が実現され、ねじれのデザインがより自然に表現されました。おそらく現在のストレッチデニムの先駆けとも言える技術革新だったのではないでしょうか。
興味深いエピソードとして、当時メンズノンノでモデルのジェシカがこのワープドジーンズを着用した写真が掲載され、多くの若者に強い影響を与えたとされています。このようなメディアとの連携も、リーバイス レッドの文化的影響力を示す重要な要素でした。
リーバイス レッド 全 モデルの各期詳細解説と現代への影響
- 2D期(Icon RED)の平面的デザイン革命について
- ワーク期コレクションが描いた労働者への敬意
- パンク期とタキシード期の両極端な表現
- 日本企画期に込められた和のエッセンス
- ヨーロッパ期が到達した芸術的境地
- 復刻版と現代市場での入手方法
- まとめ:リーバイス レッド 全 モデルの魅力と価値
2D期(Icon RED)の平面的デザイン革命について
2002AW(秋冬)から2003SS(春夏)にかけて展開されたIcon REDコレクション、通称「2D期」は、それまでの立体裁断とは正反対のアプローチを取った革新的なシリーズです。このコレクションでは意図的に平面的なデザインを追求し、大袈裟にデフォルメされたバックポケットやステッチが特徴的でした。
2D期の代名詞とも言えるのが「Type4 Jacket」です。このジャケットはリーバイスの伝統的なデニムジャケット(Type1、Type2、Type3)の系譜を受け継ぎながらも、数十年ぶりの新型番として発表されました。袖にレザーを使用したデザインは非常に斬新で、後のギャルソンやZARAなどのブランドにも影響を与えたと考えられています。
この時期の特徴として、当時流行していたローライズのデザインが多く取り入れられていました。現在の基準から見ると着用がやや困難に感じられるかもしれませんが、当時としては最先端のファッションだったのです。
🎨 2D期の主要デザイン要素
デザイン要素 | 特徴 | 影響 | 現在の評価 |
---|---|---|---|
平面的パターン | 立体感を排除 | ミニマリズムへの影響 | 高評価 |
デフォルメステッチ | 大袈裟な装飾 | グラフィック的表現 | 芸術的価値 |
ローライズデザイン | 時代性の反映 | Y2Kファッション | 復刻需要あり |
Type4ジャケット | 革新的デザイン | 袖レザー流行の先駆け | コレクター人気 |
2D期のもう一つの注目点は、ファッションにおけるグラフィックデザインの概念を服作りに取り入れたことです。平面的なデザインにより、着用者の体型よりもデザイン自体が主役になるという、従来の服作りとは異なるアプローチを取っています。
このような実験的な取り組みは、現在のストリートファッションやアートウェアにも大きな影響を与えています。特にグラフィックを重視したデザインや、機能よりも表現を優先する服作りの手法は、リーバイス レッドの2D期が先駆けとなったと推測されます。
ワーク期コレクションが描いた労働者への敬意
2003AW(秋冬)から2004SS(春夏)にかけて展開されたワークウェアコレクション、通称「ワーク期」は、リーバイス レッド 全 モデルの中でも特に社会的メッセージ性の強いシリーズでした。このコレクションでは、ブルーカラーの労働者の作業着からインスピレーションを得て、労働への敬意と美しさを表現しています。
最も象徴的なモデルは「HOWARD」です。このモデルには「STRAPPED(溶接工)」と「BROWN IN(建設作業員)」の2つのバージョンがあり、それぞれ異なる職業の作業着の特徴を再現していました。STRAPPEDでは溶接時のアーク光による色落ちを、BROWN INでは屋外作業による日焼けや汚れを精密に再現しています。
特にSTRAPPED版のHOWARDは、カリスマ美容師や雑誌モデルの間で大流行し、リーバイス レッドの通常モデルの中で最高値のプレミア20万円が常態的についたという伝説的なモデルです。この現象は、労働者の服装がファッションアイコンとして受け入れられた画期的な出来事でした。
⚒️ ワーク期の職業別デザイン詳細
職業モチーフ | モデル名 | 特殊加工 | 再現要素 | 市場価値 |
---|---|---|---|---|
溶接工 | STRAPPED | アーク光色落ち | 裾のシワ、長い線状色落ち | 20万円級 |
建設作業員 | BROWN IN | 日焼け・風化加工 | ベルト跡、ひび割れ感 | 15万円級 |
木こり | ほつれワーク期 | 糸ほつれ加工 | 作業時の摩耗再現 | 10万円級 |
ワーク期の革新的な点は、労働の美学を高級ファッションに昇華させたことです。従来、作業着は機能性重視で美的価値は二の次でしたが、リーバイス レッドは労働による自然な摩耗や色落ちに美しさを見出し、それを意図的に再現しました。
この取り組みは現在のワークウェアブームの先駆けとも言えます。カーハートやディッキーズなどのワークブランドが高級ファッションブランドとコラボレーションする現象や、労働者ファッションがストリートで人気を集める傾向は、リーバイス レッドのワーク期が作り出した文化的土壌があってこそ実現したのかもしれません。
パンク期とタキシード期の両極端な表現
2004AW(秋冬)から2005SS(春夏)のパンク期、そして2005AW(秋冬)のタキシード期は、リーバイス レッド 全 モデルの中でも最も対照的なコンセプトを持つ2つのシリーズです。この2つの期は、ファッションにおける反逆と格式という両極端な価値観を表現していました。
パンク期の特徴は、その名の通りパンクロッカーの服装からインスピレーションを得たデザインでした。レザーパンツのような光沢を出すポリウレタンコーティングや、ベルトを多用したボンテージデザインが印象的です。鋲つきのレザージャケットのシグニチャーモデルなど、反体制的なファッションを高級デニムウェアで表現しています。
一方、タキシード期は作業着から端を発したジーンズと最もフォーマルなタキシード・スラックスを組み合わせたという、コンセプト的に非常に興味深いシリーズでした。この組み合わせは一見矛盾しているようですが、階級の境界を越えたファッションという深いメッセージが込められていたと推測されます。
🎭 パンク期とタキシード期の対比
要素 | パンク期 | タキシード期 |
---|---|---|
コンセプト | 反体制・自由 | 格式・伝統 |
素材 | ポリウレタン、レザー | シルク、高級綿 |
デザイン | ボンテージ、鋲 | フォーマル、クラシック |
価格 | 通常価格 | 高級価格帯 |
人気度 | コアファン支持 | 一般受けは低い |
現在の評価 | カルト的人気 | アート作品的価値 |
興味深いエピソードとして、タキシード期にはビング・クロスビーのデニムタキシードの逸話が関係している可能性があります。1950年代に歌手兼俳優のビング・クロスビーが、ホテルでジーンズ姿のために宿泊拒否されかけた際、リーバイスがデニムのタキシードを特別制作したという歴史的なエピソードです。
パンク期の課題として、ポリウレタンコーティングの経年劣化があります。時間が経つと溶けてしまい、他の衣類を汚してしまうという実用上の問題があるため、現在コレクションする際には注意が必要です。しかし、その儚さも含めてパンクの美学を体現しているとも解釈できるでしょう。
日本企画期に込められた和のエッセンス
2006SS(春夏)から2008SS(春夏)にかけての日本企画期は、リーバイス レッド 全 モデルの中でも特に日本の美意識と職人技術を反映したシリーズでした。この時期は有名デザイナーのリッキー・コフがデザインを手掛け、3年間にわたって継続的なビジョンで展開されました。
日本企画期の最大の特徴は、ノンウォッシュに赤パッチの組み合わせです。これは日本の職人による丁寧な仕上げを象徴しており、素材の自然な状態を尊重する日本の美学が反映されています。また、革のループを使ったデザインや、リーバイス レッド初のアクセサリーである革のブレスレットも登場しました。
特に注目すべきは、1stコレクションの復刻が行われたことです。ただし、オリジナルとの違いとして、ボタンが金色ではなくくすんだ黒系色になり、赤パッチが追加され、バックポケットのアーキュエットステッチが若干下側に移動するなど、細部に日本的な解釈が加えられています。
🎌 日本企画期の特徴的要素
要素 | 詳細 | 日本的解釈 | 現在の価値 |
---|---|---|---|
ノンウォッシュ仕上げ | 未加工状態 | 素材への敬意 | コレクター価値高 |
赤パッチデザイン | 日本限定仕様 | 日本の色彩感覚 | 識別ポイント |
革のループ使用 | 和装の帯から着想 | 伝統工芸の応用 | 技術的評価高 |
細部の変更 | ボタン色、ステッチ位置 | 日本の完璧主義 | マニア人気 |
この時期のもう一つの重要な側面は、日本の職人技術との融合です。西洋発祥のデニムに東洋的な美意識を融合させることで、これまでにない新しいデニム文化を創造しようという試みがありました。おそらくこの取り組みは、後の日本発デニムブランドの国際的な成功にも影響を与えていると考えられます。
リッキー・コフという世界的デザイナーが日本に特化した企画を3年間継続したことの意義は非常に大きく、これにより日本のデニム文化とファッション文化が世界的に認知される一つのきっかけになったとも推測されます。
ヨーロッパ期が到達した芸術的境地
2007AW(秋冬)のヨーロッパ期は、多くの専門家やコレクターからリーバイス レッド 全 モデルの最高傑作と評されているシリーズです。この時期は、商業性よりも芸術性を優先したチャレンジングなデザインが特徴的で、まさに「芸術作品としてのデニム」を体現しています。
ヨーロッパ期の象徴的なモデルは「Bow Jacket」と「Bow Leg」です。その名の通り弓のような曲線を描いた足と腕のデザインが特徴的で、従来のジーンズの概念を完全に覆すビジュアルインパクトを持っています。極限までデフォルメされたポケットのデザイン、真っ赤なパッチとボタン、リジットに近い生地など、すべての要素が芸術性を追求しています。
この時期からジーンズ1本の価格が4万円を安定的に超えるようになり、まさに高級ファッションアイテムとしての地位を確立しました。価格の高騰は一般ユーザーには厳しいものでしたが、それがかえってブランドのプレミアム感を高める結果となっています。
🎨 ヨーロッパ期の芸術的要素
デザイン要素 | 特徴 | 芸術的価値 | 影響 |
---|---|---|---|
弓型シルエット | 極度の曲線美 | 彫刻的美しさ | 後のアートウェアに影響 |
真っ赤なパッチ | 強烈な色彩対比 | 絵画的表現 | カラーブロッキングの先駆け |
デフォルメポケット | 機能を超えた装飾 | 装飾芸術の概念 | ファッション芸術化の象徴 |
リジッド素材 | 形状記憶効果 | 時間芸術の要素 | エイジング文化への影響 |
特筆すべきは、2020年のジュンヤワタナベコムデギャルソンのコレクションで、ほぼこのままのデザインのリーバイスコラボが発表されたことです。これは13年後のファッション界が、ヨーロッパ期の先進性を改めて評価した証拠とも言えるでしょう。
ヨーロッパ期の哲学は「万人に向けたものでなく、芸術的で先進的なチャレンジングなデザインこそまさにLevi’s REDだ」という、ブランドのアイデンティティを明確に示すものでした。この姿勢は現在のラグジュアリーファッション業界にも大きな影響を与え、商業性と芸術性のバランスを考える際の重要な指標となっています。
復刻版と現代市場での入手方法
リーバイス レッドは2009年に一度終了しましたが、2014年、2021年、そして2022年に復刻版が登場し、新たなファンを獲得しています。現代における入手方法は、大きく分けてヴィンテージ市場での購入と新作復刻版の購入の2つのルートがあります。
**2014AWの「Lined Red」**は5年ぶりの復活として大きな注目を集めましたが、パンツが81,300円〜という高価格と、日本で3店舗でしか販売されないという限定性により、多くのファンが入手を諦めることになりました。この時期にリーバイス レッドファンからの離脱が多く発生したとも言われています。
2021SSの復刻版は、Perfumeを起用した広告で話題となり、2003年のワーク期にインスパイアされたアメリカ発のコレクションとして展開されました。これにより新しい世代のファンも獲得し、リーバイス レッドの再評価が進んでいます。
💰 現在の入手方法と価格帯
入手方法 | 価格帯 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
メルカリ・フリマ | 1-10万円 | 安価で種類豊富 | 偽物リスク、コンディション不明 |
古着店専門店 | 5-20万円 | 品質保証あり | 高価、在庫限定 |
オークション | 3-30万円 | レア物も出品 | 競り合いで高騰 |
新作復刻版 | 3-8万円 | 新品、保証あり | 限定販売、入手困難 |
ヴィンテージ市場での注意点として、偽物の存在があります。特に人気の高いPASSIVE AGGRESSIVEやHOWARDなどは模倣品が多く出回っているため、タグの年代表記(「10/2000」や「05/2000」など)や縫製の質を慎重に確認する必要があります。
現在では、1999年コレクション当時に比べて良い時代になったとも言えます。メルカリなどのフリマサイトを覗けば、当時の数分の一の価格で昔のコレクションが手に入るケースも多く、新しいファンにとってはチャンスが増えています。一般的には、コンディションの良いものを見つけることができれば、非常に魅力的な投資でもあると考えられます。
まとめ:リーバイス レッド 全 モデルの魅力と価値
最後に記事のポイントをまとめます。
- リーバイス レッドは1999年から2009年まで展開されたリーバイスの革新的デザイナーズラインである
- 立体裁断技術により従来のジーンズの概念を根本から変革した
- 各コレクション期には明確なテーマがあり独立した芸術作品として価値を持つ
- 対義語コレクションは哲学的なネーミングセンスでファッションの概念的側面を表現
- グラスコレクションの特殊加工技術は後のファッション業界に大きな影響を与えた
- ねじれ期は意図的な非対称デザインによりヴィンテージの美学を科学的に再現
- 2D期は平面的デザインによりグラフィック的表現をファッションに導入
- ワーク期は労働者への敬意を込めた社会的メッセージ性の強いコレクション
- パンク期とタキシード期は反逆と格式という両極端な価値観を表現
- 日本企画期はリッキー・コフによる和のエッセンスを取り入れた3年間の継続企画
- ヨーロッパ期は商業性よりも芸術性を優先した最高傑作として評価される
- 現在でも復刻版の発売やヴィンテージ市場での取引が活発に行われている
- フリマサイトの普及により以前より入手しやすい環境が整っている
- 偽物も多く出回っているため購入時には慎重な確認が必要
- 各モデルの希少価値は年々上昇傾向にあり投資対象としても注目される
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://note.com/mickeymitsumoto/n/n6d09fddc505b
- https://fashiontechnews.zozo.com/culture/levisred
- https://item.rakuten.co.jp/ray-online-store/c/0000000299/
- https://jp.mercari.com/search?keyword=%E5%88%9D%E6%9C%9F%20%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%83%E3%83%89
- https://ultrabo.exblog.jp/30411310/
- https://draillard.net/product/175275557
- http://www.pavementclothing.jp/?mode=cate&cbid=339976&csid=2
- https://www.nakymavideo.com/shopdetail/1280506488.shtml
- https://www.santaprotecaoveicular.com.br/?detail2096455931?kg=2094337146
- https://www.nakymavideo.com/shopdetail/1333972738.shtml
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