リーバイスジャケット 年代の見分け方について、古着愛好家やヴィンテージマニアが長年培ってきた知識を徹底的に調査し、どこよりもわかりやすくまとめました。リーバイスのGジャン(デニムジャケット)は、1937年から現在まで4つの主要な世代に分けられ、それぞれ独特な特徴を持っています。
この記事では、506XX(ファースト)から70505(フォース)まで、各世代の詳細な特徴と年代判別のポイントを解説します。パッチの素材、タグの種類、ボタン裏の刻印、ステッチの色など、複数の要素を組み合わせることで、あなたのリーバイスジャケットの正確な年代を特定できるようになります。
この記事のポイント |
---|
✅ 4つの世代(ファースト~フォース)の基本的な見分け方 |
✅ ビッグEとスモールeによる1973年を境目とした年代判別法 |
✅ パッチ素材とケアタグによる詳細な年代特定方法 |
✅ ボタン裏刻印や生産国表記による製造時期の判別術 |
リーバイスジャケット年代判別の基礎知識
- リーバイスジャケット年代の見分け方は4つの世代に分けて判断すること
- ファースト(506XX)は1937年~1953年で最も古いタイプ
- セカンド(507XX)は1952年~1962年で胸ポケットが2つになった
- サード(557XX)はV字ステッチが特徴的な完成形
- フォース(70505)はロング丈でファッション性が向上した
- ビッグEとスモールeの違いで1973年を境目に年代判別できる
リーバイスジャケット年代の見分け方は4つの世代に分けて判断すること
リーバイスのGジャンは、**古い順番に「ファースト」「セカンド」「サード」「フォース」**の4つの世代に大きく分類されます。この分類は、古着業界やヴィンテージ愛好家の間で長年使われてきた標準的な呼び方です。
各世代には明確な製造期間と特徴があり、これらを理解することで年代判別の基礎が身につきます。例えば、胸ポケットの数や形状、シルエット、ディテールの違いなどが世代ごとに異なっています。
📊 リーバイス4世代の基本情報
世代 | 品番 | 製造期間 | 主な特徴 |
---|---|---|---|
ファースト | 506XX | 1937年~1953年 | 胸ポケット1つ、シンチバック |
セカンド | 507XX | 1952年~1962年 | 胸ポケット2つ、サイドアジャスター |
サード | 557XX | 1962年~1967年 | V字ステッチ、埋め込み型ポケット |
フォース | 70505 | 1967年~ | ロング丈、品番変更 |
これらの世代判別は、単一の要素だけでなく複数の特徴を総合的に判断することが重要です。パッチの材質、タグの種類、ステッチの色などを組み合わせることで、より正確な年代特定が可能になります。
初心者の方は、まずこの4つの世代の基本的な違いを覚えることから始めましょう。特に胸ポケットの数(ファーストは1つ、セカンド以降は2つ)は、一目で世代を区別できる最もわかりやすい特徴です。
古着屋で実際にGジャンを手に取る際は、まず胸ポケットの数を確認し、次にパッチの品番をチェックするという順序で見ていくと効率的に年代判別ができます。
ファースト(506XX)は1937年~1953年で最も古いタイプ
ファースト506XXは、現代のGジャンスタイルの原型となった記念すべき第一世代です。1937年から1953年まで約16年間にわたって製造され、その間にも仕様変更が行われているため、さらに細かな年代分類が可能です。
ファーストの最大の特徴は左胸のみに設けられたパッチ&フラップポケットです。これは現在のGジャンが胸ポケットを2つ持つのとは大きく異なる点で、一目でファーストと判別できる要素です。
📋 ファースト506XXの年代別細分化
時期 | 主な特徴 |
---|---|
1937年以前 | 赤タブなし、丸みを帯びたシンチバックル |
1937年~1942年 | 赤タブ付き、大きな長方形ボックスステッチ |
1942年~1945年 | 大戦モデル、フロントボタン4つ |
1946年~1953年 | 針無しバックル、新仕様 |
フロントプリーツも重要な特徴の一つです。胸部の立体感を確保するために設けられたこのプリーツは、後の世代では異なるデザインに変更されます。また、背中のヨーク部分にも2つのプリーツが設けられており、動きやすさを重視した作りになっています。
大戦モデル(1942年~1945年)は、戦時中の物資統制の影響を受けて作られた特別なバージョンです。通常5つだったフロントボタンが4つに減らされ、ボタンには月桂樹が描かれたデザインのものも存在します。
現在市場に流通するファーストは非常に希少で、コレクターアイテムとして高額で取引されています。特に1955年以前の革パッチ仕様のものは、ヴィンテージ市場では別格の扱いを受けています。
セカンド(507XX)は1952年~1962年で胸ポケットが2つになった
セカンド507XXは、戦後復興期のアメリカで生まれた実用性重視のモデルです。1952年頃から製造が開始され、約10年間にわたって作り続けられました。この世代から現在まで続く「胸ポケット2つ」のスタイルが確立されました。
最大の変更点は、ファーストの左胸のみだったポケットが両胸に配置されたことです。これにより、より多くの小物を収納できるようになり、ワークウェアとしての機能性が向上しました。
✨ セカンドの主な改良点
- 胸ポケットが1つから2つに増加
- シンチバックからサイドアジャスターに変更
- より機能的なワークジャケットとして進化
サイドアジャスターの採用も重要な変更点です。ファーストまで使用されていたシンチバック(背中のベルト式調整機能)は、車を傷つける可能性があるとトラッカー(トラック運転手)から不評だったため、両サイドのタックボタン式アジャスターに変更されました。
パッチの材質については、1955年を境に革パッチから紙パッチに変更されています。そのため、革パッチのセカンドは1952年~1955年頃、紙パッチのセカンドは1955年~1962年頃と判別できます。
📊 セカンド507XXのパッチ材質による年代分類
パッチ材質 | 年代 | 希少性 |
---|---|---|
革パッチ | 1952年~1955年 | 非常に希少 |
紙パッチ | 1955年~1962年 | 比較的希少 |
セカンドはファーストの基本設計を踏襲しながら実用性を向上させたモデルとして評価されています。ショート&ワイドのボックスシルエットや、胸まわりの立体的なゆとりなど、ワークウェアとしての機能性を重視した作りは現代でも高く評価されています。
サード(557XX)はV字ステッチが特徴的な完成形
サード557XXは、Gジャンの完成形と呼ばれる第3世代です。1962年頃から製造が開始され、現在多くのブランドが参考にするデザインの原型となりました。この世代で、Gジャンは純粋なワークウェアからファッションアイテムへと性格を変え始めます。
最も印象的な特徴は、胸ポケットからウェストバンドに向かうV字型のステッチです。このデザインは機能性とファッション性を両立させた革新的なもので、現代のGジャンの多くがこのスタイルを踏襲しています。
🎯 サードの革新的な変更点
- プリーツ廃止、V字ステッチ採用
- ポケットが埋め込み型に変更
- アームホールが大きくなり着やすさ向上
- ファッション性を重視したデザイン
ポケットの構造も大きく変化しました。セカンドまでは外側から別布を縫い付ける形式でしたが、サードからは埋め込み型のポケットに変更されています。これにより、よりスマートで洗練された外観を実現しました。
サードには「557」「557XX」「557XX ギャラ入り」という3つのバリエーションが存在します。**「ギャラ入り」**とは、うなじ部分のパッチに「Every Garment Guaranteed」と表記されているもので、コレクターの間では特に価値が高いとされています。
📋 サード557XXのバリエーション
タイプ | パッチ表記 | 特徴 |
---|---|---|
557 | 基本タイプ | 最初期のモデル |
557XX | XX表記あり | 標準的なタイプ |
557XX ギャラ入り | Every Garment Guaranteed | 希少価値が高い |
着丈については短いままでしたが、アームホールが大きくなったことで着心地が向上しました。これは、徐々にファッションアイテムとして着用されることを意識した変更と考えられます。
サードの登場により、Gジャンは**単なる作業着から「カッコいい服」**として若者に受け入れられるようになりました。この変化が、次世代のフォースへとつながっていきます。
フォース(70505)はロング丈でファッション性が向上した
フォース70505は、1967年から始まった品番変更により誕生した第4世代です。アメリカのカウンターカルチャーが台頭した1960年代後半という時代背景を反映し、よりファッション性を重視したデザインに進化しました。
外見上はサードとほぼ変わりませんが、最も大きな変化は着丈が長くなったことです。これまでのショート丈からミドル丈に変更され、よりファッションとして着こなしやすいシルエットになりました。
⚡ フォースの主要な変更点
- 着丈がショートからミドルに変更
- パッチサイズが小さくなった
- Vステッチの傾斜が緩やかに
- ステッチカラーがほぼオレンジに統一
ステッチの色も重要な変化の一つです。サードまではイエローとオレンジが混在していましたが、フォースでは主要部分のステッチが全てオレンジの糸で統一されました。この変更により、より現代的な印象を与えるようになりました。
Vステッチの形状も微妙に変化しており、サードと比べて傾斜が緩やかになり、末端部が閉じていないのが特徴です。これらの細かな違いは、熟練したコレクターが年代判別に使用する重要なポイントです。
📊 サードとフォースの比較
項目 | サード(557XX) | フォース(70505) |
---|---|---|
着丈 | ショート | ミドル |
パッチサイズ | 大きい | 小さい |
Vステッチ傾斜 | 急 | 緩やか |
ステッチ色 | イエロー混在 | オレンジ統一 |
フォースの登場により、Gジャンは**「ワークウェア」から「ファッションアイテム」**へと完全に性格を変えました。より多様なコーディネートに対応できるシルエットは、現代のGジャンの基本形として受け継がれています。
品番の変更も時代の流れを反映しています。3桁の品番から5桁への変更は、リーバイス社の製品管理システムの近代化を表しており、大量生産時代への対応を示しています。
ビッグEとスモールeの違いで1973年を境目に年代判別できる
リーバイスの赤タブに表記される**「LEVI’S」の文字**は、年代判別の重要な手がかりとなります。1973年頃を境に「LEVI’S」(ビッグE)から「LeVI’S」(スモールe)に変更され、この違いを知ることで大まかな年代を特定できます。
ビッグEは全ての文字が大文字で表記されており、1973年以前の製品に使用されています。一方、スモールeは**「e」の部分のみ小文字**になっており、1973年以降の製品に使用されています。
🔍 ビッグEとスモールeの見分け方
- ビッグE:「LEVI’S」(全て大文字)→ 1973年以前
- スモールe:「LeVI’S」(eのみ小文字)→ 1973年以降
この変更はフォース(70505)の時代に行われたため、同じ品番でもビッグE仕様とスモールe仕様が存在します。ビッグE仕様の70505は1967年~1973年頃、スモールe仕様の70505は1973年以降と判別できます。
コレクターや古着愛好家の間では、ビッグE仕様の方が価値が高いとされています。これは製造期間が短く、希少性が高いためです。特に70505のビッグE仕様は、フォース初期の貴重な証拠として扱われています。
📊 ビッグE・スモールe による価値の違い
タイプ | 年代 | 希少性 | 市場価値 |
---|---|---|---|
ビッグE | ~1973年 | 高い | 高価 |
スモールe | 1973年~ | 普通 | 標準 |
注意点として、リーバイス・ヴィンテージ・クロージング(LVC)などの復刻版では、オリジナルの仕様を再現するためにビッグEが使用されています。そのため、赤タブだけでなく他の要素も総合的に判断することが重要です。
実際の年代判別では、ビッグE/スモールeの違いを最初の大まかな分類として使用し、その後パッチの種類、ケアタグ、ボタン裏刻印などの詳細な要素で精密な年代特定を行うのが一般的な方法です。
リーバイスジャケット年代判別の詳細ポイント
- パッチの素材で1955年を境界に年代がわかる
- ケアタグの種類で70年代以降の細かい年代がわかる
- ボタン裏の刻印で製造時期を特定できる
- シンチバックルの有無でファーストの年代を細分化できる
- ステッチの色でイエローからオレンジへの変遷がわかる
- 生産国表記で80年代以降の年代判別ができる
- まとめ:リーバイスジャケット年代判別は複数の要素を組み合わせて判断する
パッチの素材で1955年を境界に年代がわかる
リーバイスのGジャンの年代判別において、パッチ(品番表示部分)の素材は最も重要な要素の一つです。1955年を境に革パッチから紙パッチに変更されたため、この違いを理解することで大まかな年代区分が可能になります。
**革パッチ(レザーパッチ)**は1955年以前の製品に使用されており、時間の経過とともに独特の風合いを醸し出します。一方、**紙パッチ(ペーパーパッチ)**は1955年以降の製品に採用され、耐久性と製造コストの面で優れています。
🎯 パッチ素材による年代区分の基本
- 革パッチ:1955年以前(非常に希少)
- 紙パッチ:1955年以降(標準的)
革パッチが使用されていたのは、ファーストの全期間とセカンドの初期までです。具体的には、506XX(ファースト)は全て革パッチ、507XX(セカンド)は1955年以前が革パッチ、1955年以降が紙パッチということになります。
革パッチの特徴として、経年変化による収縮や色合いの変化があります。特に古いものは縮んでしまっていることが多く、これも年代判別の手がかりとなります。また、革パッチには品番の他に製造に関する情報も記載されており、コレクターにとって貴重な情報源となっています。
📊 各世代のパッチ素材一覧
世代 | 品番 | 期間 | パッチ素材 |
---|---|---|---|
ファースト | 506XX | 1937~1953年 | 革パッチのみ |
セカンド | 507XX | 1952~1955年 | 革パッチ |
セカンド | 507XX | 1955~1962年 | 紙パッチ |
サード | 557XX | 1962~1967年 | 紙パッチのみ |
フォース | 70505 | 1967年~ | 紙パッチのみ |
紙パッチにも印刷内容や大きさの変遷があります。例えば、フォース初期と後期では紙パッチのサイズが異なり、後期の方が小さくなっています。このような細かな違いも、より精密な年代特定に役立ちます。
偽物対策としても、パッチの素材と年代の整合性は重要です。例えば、1960年代のサードに革パッチが付いている場合は、明らかに年代が合わないため偽物や復刻品の可能性が高いと判断できます。
ケアタグの種類で70年代以降の細かい年代がわかる
**ケアタグ(洗濯表示タグ)**の種類と取り付け位置は、特に1970年代以降のリーバイスGジャンの年代判別において極めて重要な要素です。時代とともに材質、表記内容、取り付け位置が変化しており、これらの違いを理解することで詳細な年代特定が可能になります。
70505(フォース)を例に取ると、最も古いタイプは布製のケアタグが紙パッチの下に付いているものです。これは1970年代の特徴で、現在では非常に希少な仕様となっています。
📝 70年代ケアタグの特徴
- 紙パッチの下に布製ケアタグ
- 収縮率3%の表示あり
- 取り付け位置:内側中央部
1980年代に入ると、紙製のケアタグが主流になります。初期は1枚のタグでしたが、中期以降は2枚組みのタグが使用されるようになりました。また、1980年代中盤頃からは1枚目のタグがビニール様の素材に変更されています。
🔄 80年代ケアタグの変遷
- 前半:紙タグ1枚、収縮率表示なし
- 中盤:紙タグ2枚、またはビニール+紙の組み合わせ
- 後半:赤ラベルの登場、取り付け位置が胸ポケット裏に変更
1987年製の赤ラベルは特に注目すべき仕様です。このタイプは通常の内側中央ではなく、胸ポケットの裏に取り付けられており、赤い文字で品質表示がされています。
📊 年代別ケアタグ一覧
年代 | タグ素材 | 枚数 | 取り付け位置 | 特記事項 |
---|---|---|---|---|
70年代前期 | 布製 | 1枚 | パッチ下 | 収縮率3%表示 |
70年代後期 | 紙製 | 1枚 | 内側中央 | 収縮率表示あり |
80年代前期 | 紙製 | 1枚 | 内側中央 | 収縮率表示なし |
80年代中期 | 紙製 | 2枚 | 内側中央 | 標準的な仕様 |
80年代後期 | ビニール+紙 | 2枚 | 胸ポケット裏 | 赤ラベル |
1990年代になると、紙パッチの印字に**「care~」の赤文字表記が追加されます。また、この時期のタグはフロントボタンの裏**に取り付けられることが多く、品質表示ラベルも赤文字で表記されています。
90年代の重要な変化として、タグの裏面に正確な製造年月が記載されるようになりました。これにより、それ以前の「おおよその年代推定」から「正確な年代特定」が可能になっています。
ボタン裏の刻印で製造時期を特定できる
リーバイスGジャンのボタン裏の刻印は、年代判別における隠れた重要要素です。一般的にはあまり知られていませんが、ボタンの材質や刻印内容は時代とともに変化しており、熟練したコレクターが年代特定に活用している情報源となっています。
初期のリーバイスGジャンでは、亜鉛(ジンク)製のボタンが使用されていました。これらのボタンには製造会社の刻印や、時には製造年を示すコードが刻まれています。戦時中の大戦モデルでは、通常の「LEVI’S」刻印に加えて月桂樹のデザインが刻まれたボタンも存在します。
🔍 ボタン刻印の主な変遷
- 初期(~1950年代):ジンク製、単純な刻印
- 中期(1950年代~):カッパー(銅)製に変更
- 後期(1970年代~):より詳細な情報を含む刻印
セカンド(507XX)の時代から、ボタンの材質が亜鉛から**銅(カッパー)**に変更されました。この変更により、ボタンの色合いや経年変化の特徴も変わっています。銅製ボタンは時間の経過とともに独特の錆び方をするため、これも年代判別の手がかりとなります。
サードやフォースの時代になると、ボタン裏の刻印はより複雑になります。製造会社のマーク、品番の一部、時には製造時期を示すコードなどが組み合わされており、これらの情報を解読することで詳細な製造時期を特定できる場合があります。
📊 世代別ボタンの特徴
世代 | 材質 | 主な刻印 | 特記事項 |
---|---|---|---|
ファースト | ジンク | LEVI’S、製造会社マーク | 大戦モデルは月桂樹デザインあり |
セカンド | カッパー | LEVI’S、改良された刻印 | 材質変更の転換点 |
サード | カッパー | より詳細な情報 | 現代的な刻印システム |
フォース | カッパー | 品番関連情報含む | 最も詳細な刻印 |
注意すべき点として、ボタンは後から交換される場合があることです。特にヴィンテージ品では、オリジナルボタンが紛失して後年に似たような代用ボタンに交換されているケースがあります。そのため、ボタン刻印による年代判別は他の要素と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
現代の復刻版(LVCなど)では、オリジナルの刻印を忠実に再現していることが多いため、ボタン刻印だけでは本物と復刻版の区別が困難な場合もあります。このような場合は、全体的な仕上がりや他のディテールも併せて確認する必要があります。
シンチバックルの有無でファーストの年代を細分化できる
**シンチバックル(背中のベルト式アジャスター)**は、ファースト506XXの年代を細分化する上で極めて重要な要素です。このディテールの変遷を理解することで、ファーストを4つの時期に分類することができます。
最初期の506XX(1937年以前)では、丸みを帯びたシンチバックルが使用されていました。この時期はまだ赤タブも付いておらず、現在では博物館級の希少性を持っています。バックルの形状が丸いのは、当時の金属加工技術の制約によるものと考えられています。
⚙️ シンチバックルの形状変遷
- 1937年以前:丸みを帯びた形状、赤タブなし
- 1937年~1942年:滑り止め付きの改良型
- 1942年~1945年:大戦モデル、材料統制の影響
- 1946年~1953年:針無しバックル、安全性向上
1937年~1942年の期間では、シンチバックルに滑り止め機能が追加されました。これは実用性の向上を目的とした改良で、ベルトの調整がより確実に行えるようになりました。同時に、この時期から赤タブが付き始めます。
**大戦モデル(1942年~1945年)**の時期は、戦時中の物資統制の影響を強く受けています。金属の使用量を減らすため、フロントボタンが5つから4つに変更されただけでなく、シンチバックルの仕様も簡略化されています。
📊 ファースト506XXの時代区分
時期 | シンチバックル | 赤タブ | ボタン数 | 希少度 |
---|---|---|---|---|
~1937年 | 丸い形状 | なし | 5つ | 極希少 |
1937~1942年 | 滑り止め付き | あり | 5つ | 非常に希少 |
1942~1945年 | 簡略化 | あり | 4つ | 希少 |
1946~1953年 | 針無し | あり | 5つ | 比較的希少 |
1946年以降の最終期では、重要な改良が行われました。それまでのシンチバックルには**2本の尖った針(ピン)**が付いていましたが、これが車の内装を傷つけるという苦情がトラッカーから寄せられたため、針無しのバックルに変更されました。
この変更は、リーバイスが顧客の意見を真摯に受け止めて改良を重ねてきたことを示す象徴的な例です。トラッカージャケットという名前の由来となったトラック運転手からの実用的なフィードバックが、製品改良に直結しています。
コレクターの視点では、針付きのシンチバックルは希少性が高く、特に1930年代後半~1940年代前半のものは非常に価値が高いとされています。ただし、針が後から除去されている可能性もあるため、針の有無だけでなく、バックル全体の形状や取り付け方法も総合的に判断する必要があります。
ステッチの色でイエローからオレンジへの変遷がわかる
リーバイスGジャンのステッチカラーは、年代判別における重要な指標の一つです。時代とともにイエローからオレンジへと変化しており、この変遷を理解することで大まかな製造時期を特定することができます。
初期のリーバイス製品では、主にイエロー系のステッチが使用されていました。これは当時利用可能だった染料や糸の技術的制約によるものです。しかし、時代とともにより耐久性があり、視認性の高いオレンジ系のステッチが主流となっていきます。
🎨 ステッチカラーの時代変遷
- 初期(~1960年代前半):主にイエロー系
- 中期(1960年代後半):イエローとオレンジの混在
- 後期(1970年代~):主にオレンジ系
サード(557XX)の時代は、ちょうどこの変遷期にあたります。そのため、サードのGジャンではイエローとオレンジが混在している個体が多く見られます。部位によって色が異なることもあり、これがサード特有の特徴となっています。
フォース(70505)以降では、主要な部分のステッチがほぼ全てオレンジ系で統一されています。これは製造工程の標準化と品質の均一化を目的とした変更で、現代まで続く基本仕様となっています。
📊 世代別ステッチカラーの特徴
世代 | 主なステッチカラー | 混在状況 | 特記事項 |
---|---|---|---|
ファースト | イエロー | なし | 単色使用 |
セカンド | イエロー中心 | 一部オレンジ | 変遷初期 |
サード | イエロー+オレンジ | 混在多い | 変遷期の特徴 |
フォース | オレンジ中心 | ほとんどなし | 現代仕様の確立 |
ステッチの色による年代判別には注意点もあります。経年変化により元の色から変色している場合があり、特に日光や洗濯による褪色は避けられません。また、後年に修理や補修が行われている場合は、オリジナルとは異なる色のステッチが使用されている可能性もあります。
実際の年代判別では、ステッチカラーは他の要素と組み合わせて参考程度に使用することが重要です。特にポケット部分のステッチと本体部分のステッチを比較することで、修理歴の有無も判断できます。
おそらく最も確実な判別方法は、複数の部位のステッチを総合的に確認することでしょう。襟、ポケット、裾、袖など、各部位のステッチカラーに一貫性があれば、オリジナル仕様である可能性が高いと判断できます。
生産国表記で80年代以降の年代判別ができる
**生産国表記(Made in~)**は、1980年代以降のリーバイスGジャンの年代判別において非常に有効な手がかりです。グローバル化の進展とともに生産拠点が多様化し、どこで製造されたかによって大まかな時期を特定することができます。
1980年代までは、ほぼ全てのリーバイス製品がMade in USAでした。これは品質の証明でもあり、現在でもコレクターの間では「USA製」が最も価値が高いとされています。
🌍 生産国の変遷タイムライン
- ~1980年代:Made in USA(ほぼ独占)
- 1990年代前半:カナダ製が登場
- 1990年代後半~2000年代:マカオ、香港、中国製が登場
- 2000年代以降:アジア各国、中南米諸国に拡大
1990年代に入ると、コスト削減の一環として生産拠点の海外移転が本格化します。最初にカナダ製が登場し、続いてマカオ、香港での生産が開始されました。これらの地域は当時の製造業のハブとして機能していました。
中国製のリーバイス製品が登場するのは1990年代後半からです。初期の中国製品は品質にばらつきがありましたが、次第に改善され、現在では主要な生産拠点の一つとなっています。
📊 生産国別の時期と特徴
生産国 | 開始時期 | 品質 | コレクター価値 |
---|---|---|---|
アメリカ | ~1990年代 | 最高 | 最も高い |
カナダ | 1990年代前半 | 高い | 高い |
マカオ | 1990年代中期 | 良好 | 中程度 |
香港 | 1990年代中期 | 良好 | 中程度 |
中国 | 1990年代後半 | 改善中 | 低い |
日本製のリーバイス製品も存在しますが、これらの多くは**リーバイス・ヴィンテージ・クロージング(LVC)**などの特別なラインです。日本の繊維技術を活かした高品質な復刻版として位置づけられており、通常の年代判別とは異なる文脈で扱われます。
生産国表記による年代判別の注意点として、同じ時期でも複数の国で並行して生産されていることがあります。そのため、「中国製だから2000年代」と断定するのではなく、他の要素と組み合わせて総合的に判断することが重要です。
タグの取り付け位置も生産国によって変わることがあります。アメリカ製では一定の位置にタグが付けられていましたが、海外生産品では取り付け位置や方向がバラバラになることが多く、これも間接的な判別要素として活用できます。
まとめ:リーバイスジャケット年代判別は複数の要素を組み合わせて判断する
最後に記事のポイントをまとめます。
- リーバイスGジャンは4つの世代(ファースト、セカンド、サード、フォース)に分類される
- ファースト506XXは1937年~1953年で胸ポケットが1つの最古タイプである
- セカンド507XXは1952年~1962年で胸ポケットが2つになった実用重視モデルである
- サード557XXは1962年~1967年でV字ステッチが特徴的な完成形である
- フォース70505は1967年以降でロング丈化したファッション重視モデルである
- ビッグEとスモールeの違いで1973年を境目とした大まかな年代判別が可能である
- パッチ素材は1955年を境に革から紙に変更され重要な判別要素となる
- ケアタグの種類と取り付け位置で1970年代以降の詳細な年代特定ができる
- ボタン裏刻印は材質変更や詳細情報の変遷で製造時期を示す隠れた要素である
- シンチバックルの形状変化でファーストを4つの時期に細分化できる
- ステッチカラーはイエローからオレンジへの変遷で大まかな時代区分ができる
- 生産国表記で1980年代以降の海外生産移転の流れが把握できる
- 年代判別には単一要素ではなく複数要素の総合判断が不可欠である
- 偽物や復刻版との区別には全体的な仕上がりや一貫性の確認が重要である
- 修理歴や後年の改造の可能性も考慮した慎重な判断が求められる
調査にあたり一部参考にさせて頂いたサイト
- https://jamtrading.jp/blogs/jam/1017085/
- https://vintege-collection.hatenablog.com/entry/2022/01/17/205934
- https://www.canrio.ca/?_g=18339586
- https://www.valeriegarrettinteriordesign.com/special/838569228.phtml
- https://www.leon.jp/fashions/8351
- https://sccinfrastructure.com/?c=72104139331202&channel=cd29be&from=info.php%3Fid%3D1393312-267%26name%3DLevi%E2%80%99s%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%90%E3%82%A4%E3%82%B9+%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88+70%E5%B9%B4%E4%BB%A3
- https://draillard.net/product/364477693
- https://www.reddit.com/r/VintageLevis/comments/16h0mzm/im_having_trouble_dating_a_brown_tab_levis_jacket/?tl=ja
- https://brustkrebsdeutschland.de/goodscode/353073747
- https://www.nakymavideo.com/shopdetail/432029320.shtml
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