朝起きて最初の一歩で足裏に激痛が走る、長時間歩くとかかとが痛くなる――そんな足底筋膜炎の症状に悩まされている方にとって、適切なスニーカー選びは症状改善の重要なカギとなります。足底筋膜炎は、足の裏にある腱組織に炎症が起こることで発症し、放置すると慢性化して歩行困難になる可能性もある症状です。
この記事では、足底筋膜炎に適したスニーカーの選び方と、実際におすすめされているブランドやモデルを徹底的に解説します。ニューバランス、アシックス、ホカオネオネ、ブルックス、ヨネックスなど、各ブランドの特徴を比較しながら、あなたの足に最適な一足を見つけるためのポイントをお伝えします。また、単にクッション性が高ければ良いというわけではなく、かかとの安定性やアーチサポート、適切な硬さなど、複数の要素を総合的に考慮する必要があることも分かってきています。
| この記事のポイント |
|---|
| ✓ 足底筋膜炎に適したスニーカーの具体的な条件と選び方 |
| ✓ ニューバランス・アシックス・ホカなど主要ブランドの特徴比較 |
| ✓ かかとの安定性とアーチサポートの重要性 |
| ✓ 避けるべき靴のタイプとサイズ選びの注意点 |
足底筋膜炎におすすめのスニーカーブランドと選び方
このセクションでは、以下の内容を詳しく解説していきます。
- 足底筋膜炎に適したスニーカーの条件は安定性とクッション性
- ニューバランスが足底筋膜炎に推奨される理由
- アシックスのGELシリーズが提供する衝撃吸収性
- ホカオネオネのボリュームソールがもたらす快適性
- ブルックスのゴーストシリーズがバランスに優れている理由
- ヨネックスのパワークッションが日本人の足に合う
足底筋膜炎に適したスニーカーの条件は安定性とクッション性
足底筋膜炎に悩む方がスニーカーを選ぶ際、最も重要なのは適度なクッション性と安定性のバランスです。一般的に「痛みがあるなら柔らかい靴を」と考えがちですが、実はこれは大きな誤解かもしれません。
足底筋膜炎の主な原因は、かかとから土踏まずにかけて広がる腱組織（足底筋膜）への過度な負担です。この負担を軽減するには、着地時の衝撃を吸収しつつ、足が不安定にぐらつかないようしっかり支える必要があります。
📊 足底筋膜炎に適したスニーカーの必須条件
| 項目 | 詳細 | 理由 |
|---|---|---|
| クッション性 | EVAやポリウレタン素材 | 着地時の衝撃を吸収し足底筋膜への負担を軽減 |
| かかとの安定性 | 硬いヒールカウンター | かかとのブレを防ぎ、歩行時の安定性を確保 |
| アーチサポート | 土踏まずを支える形状 | 足底筋膜の過度な伸張を防ぐ |
| 適度な硬さ | 柔らかすぎず硬すぎない | 足の自然な動きを妨げず支える |
| つま先の余裕 | 足指が圧迫されない広さ | 足指の自然な動きを確保 |
靴底が硬すぎると地面からの衝撃が直接足裏に伝わり、炎症を悪化させる可能性があります。一方、柔らかすぎると足が沈み込んで不安定になり、かえって足底筋膜に負担をかけてしまうのです。
また、紐やマジックテープで足の甲をしっかり固定できる構造も重要なポイントです。足が靴の中で動いてしまうと、歩くたびに余計な摩擦や負担が生じ、症状の改善が遅れる原因となります。
治療院では「靴のかかと部を指でつまんで硬さを見る」ことが推奨されており、しっかりとした「カウンター」が入っているかどうかが重要な判断基準となっています。
出典：サワムラヤ靴店
足底筋膜炎は長時間の立ち仕事、激しいスポーツ、急激な運動量の増加などで発症しやすいとされています。特にランニングやジャンプなどの繰り返し動作は足底筋膜に大きなストレスを与えるため、運動習慣がある方は特に慎重な靴選びが求められます。
ニューバランスが足底筋膜炎に推奨される理由
ニューバランスは足底筋膜炎に悩む方から絶大な支持を集めているブランドです。その理由は、クッション性、安定性、耐久性のバランスが優れている点にあります。
ニューバランスの特徴として、まず挙げられるのが幅広のラスト（靴型）展開です。日本人の足は欧米人と比べて幅広・甲高の傾向があるため、海外ブランドの靴では圧迫感を感じることが少なくありません。ニューバランスはワイドモデルも充実しており、足指をゆったりと動かせる空間が確保されています。
🎯 足底筋膜炎におすすめのニューバランスモデル
| モデル | 特徴 | 価格帯 | おすすめポイント |
|---|---|---|---|
| 990v5 | Made in USA、最高峰の履き心地 | 約30,800円 | ヘタりにくく長期使用可能 |
| 880 | クッション性と安定性のバランス | 中価格帯 | ウォーキングに最適 |
| 565 | 手頃な価格でコスパ良好 | 約10,890円 | 初めてのニューバランスに |
| 2002R | アジア製でリーズナブル | 中価格帯 | 高性能なのに手が届く |
| 996 | 定番モデル、幅広展開 | 中価格帯 | 様々なシーンで使える |
特に注目すべきは990v5です。アメリカ製で価格は高めですが、その分品質は折り紙付きです。踵の安定感は抜群で、長時間履いてもヘタりが少なく、紐をしっかり締めた時のフィット感は他の追随を許さないレベルと評価されています。
義肢装具士の専門家によれば、ニューバランスの特徴として「踵のカウンターがしっかりしている」「爪先が広い」「紐で中足骨をしっかりホールドできる」「適度なクッション性がある」点が挙げられています。
出典：義肢装具士のnote記事
一方、2002Rは比較的新しいモデルで、ミッドソールに「Nergy（エナジー）」と「ABZORB（アブゾーブ）」という2種類のクッション素材を搭載しています。高いクッション性と衝撃吸収性を兼ね備えながら、アジア製のためコストパフォーマンスに優れている点が魅力です。
880はウォーキングシューズとしての機能に特化したモデルで、エントリーレベルとして非常におすすめです。クッション性、かかとの安定性、歩行の安定性がバランスよく整っており、しっかりとした作りで耐久性もあります。
ニューバランスを選ぶ際の注意点として、モデルによって若干サイズ感が異なる場合があることです。可能であれば実店舗で試着し、夕方など足がむくんでいる時間帯に確認するのが理想的でしょう。オンラインで購入する場合は、返品交換が可能なショップを選ぶことをおすすめします。
アシックスのGELシリーズが提供する衝撃吸収性
日本を代表するスポーツブランド・アシックスのGELテクノロジーは、足底筋膜炎対策として非常に効果的とされています。特にGel-Nimbusシリーズは、ランナーから高い評価を得ているモデルです。
アシックスの最大の特徴は、日本人の足型に合わせた設計です。欧米ブランドと比較して、幅広・甲高の足にもフィットしやすく、「日本人のために作られた靴」という安心感があります。
💎 アシックスGel-Nimbus 27の特徴
- PureGEL搭載：つま先とかかと下に埋め込まれた特殊なジェル素材が衝撃を吸収
- FF Blast+™フォーム：ミッドソール全体に使用され、柔らかさと反発性のバランスを実現
- ヒールカウンター補強：外部樹脂で補強され、踵骨のブレを抑制
- Guidance Line：土踏まずの下をえぐった構造でアーチの落ち込みを防ぐ
- 豊富なサイズ展開：ワイド・ナローのラスト展開で自分に合ったサイズを選べる
Gel-Nimbusシリーズは、特に「歩き出しの刺すような痛みが和らいだ」という声が多く聞かれます。これは、かかと部分のGELが着地時の衝撃を効果的に分散し、足底筋膜への負担を軽減しているためと考えられます。
また、アシックスは国産ブランドのため近くの店舗で見かけやすく、フィッティングのしやすさも大きなメリットです。スポーツショップであれば高確率で取り扱っており、専門スタッフに相談しながら選べる環境が整っています。
📋 アシックスとニューバランスの比較
| 項目 | アシックス | ニューバランス |
|---|---|---|
| 足型設計 | 日本人向け | やや欧米寄り（幅広展開あり） |
| 主要技術 | GEL、FF Blast+ | ABZORB、Nergy |
| 価格帯 | 中〜高 | 中〜高 |
| 入手しやすさ | ◎（国内店舗多数） | ○（主要都市中心） |
| デザイン | スポーティー | カジュアル寄り |
アシックスのもう一つの強みは、シューズだけでなくインソールやサポーターなどの関連製品も充実している点です。靴と合わせて使用することで、より効果的な足底筋膜炎対策が可能になるでしょう。
ただし、アシックスのシューズは一般的にニューバランスよりもスポーティーなデザインが多いため、カジュアルファッションとの相性を重視する方はその点も考慮すると良いかもしれません。
ホカオネオネのボリュームソールがもたらす快適性
近年、足底筋膜炎に悩む方の間で**急速に支持を広げているのがホカオネオネ（HOKA）**です。その最大の特徴は、他のブランドとは一線を画す「マシュマロのような」極厚ソールにあります。
ホカオネオネの代表モデルBondi 9は、足底筋膜炎対策として多くの専門家が推奨するシューズです。分厚いEVAのプラットフォームに、前後にゆるく反ったMeta-Rocker構造を組み合わせた「ローリングソール」が特徴で、この構造により地面からの突き上げを丸ごと抱え込むように吸収します。
🏃 HOKA Bondi 9の主な特徴
| 特徴 | 効果 | 実際の評価 |
|---|---|---|
| 超厚EVAソール | 地面からの衝撃を最大限に吸収 | 「帰宅後のジンジンが半減した」との声 |
| Meta-Rocker構造 | 体重移動を転がすようにサポート | 足底筋膜への引っぱりストレス軽減 |
| 硬めのヒールカウンター | アーチサポート系インソールを入れてもブレない | 安定性が高い |
| ワイド・スーパーワイド幅 | 様々な足幅に対応 | 日本人にもフィット |
ホカオネオネのシューズを初めて見る方は、その厚みに驚くかもしれません。しかし、実際に履いてみると意外にも軽量で、「雲の上を歩いているような」感覚を体験できます。この感覚は、長時間の立ち仕事をしている方にとって特に大きなメリットとなるでしょう。
義肢装具士の専門家は「立ち仕事の人から『帰宅後のジンジンが半減した』という声をよく聞く」とBondiの効果を評価しています。
出典：義肢装具士のnote記事
ホカオネオネのもう一つの人気モデルにCliftonがありますが、足底筋膜炎で悩んでいる場合はBondiの方が推奨されることが多いようです。Cliftonは軽量性を重視したモデルで、Bondiほど厚底ではないため、痛みがある状態では不安定に感じる可能性があるためです。
ただし、ホカオネオネのシューズは独特のデザインのため、ファッション性を重視する方には好みが分かれるかもしれません。また、厚底に慣れていない方は最初のうち歩きにくさを感じる場合もあるため、短時間から慣らしていくことをおすすめします。
ブルックスのゴーストシリーズがバランスに優れている理由
アメリカの老舗ランニングシューズブランド・**ブルックス（Brooks）のGhost 16は、「究極のオールラウンダー」**として高い評価を得ています。ホカオネオネほど極端な厚底ではなく、ニューバランスよりも若干控えめながら、すべての要素がバランスよく設計されている点が特徴です。
Ghost 16の最大の魅力は、違和感を覚える人が少ない超優等生な設計です。初めてランニングシューズを購入する方から、複数のブランドを試してきた上級者まで、幅広い層に支持されています。
⚡ Brooks Ghost 16の技術的特徴
- DNA LOFT v2フォーム：前作より10%軽量化しながら、着地衝撃をしっとり受け止める粘りがある
- Segmented Crash Pad：ソール内部を横断し、衝撃を分散。足底筋膜炎の痛みを起こす「着地一発目」の負担を逃がす
- 最も硬いヒールカウンター：3モデル（Bondi、Nimbus、Ghost）の中で最も硬く、安定性が高い
- 深めのポケット形状：足入れが深く、ズレにくい構造でアーチを抑えやすい
- 幅広のサイズ展開：標準・2E・4Eまで用意され、国内スポーツショップで試着しやすい
ブルックスの特徴として、特定の機能に特化するのではなく、すべての要素を高水準で満たしている点が挙げられます。クッション性はホカほど極端ではないが十分に柔らかく、安定性はアシックスに劣らず、デザインはニューバランスほどカジュアルすぎない――このバランス感覚が多くのユーザーに支持される理由です。
📊 主要ブランド3社の特徴比較
| ブランド | 最大の特徴 | 向いている人 | 価格の目安 |
|---|---|---|---|
| HOKA（Bondi 9） | 極厚ソール、最強クッション | 長時間立ち仕事、重度の痛み | 18,000〜20,000円 |
| ASICS（Gel-Nimbus 27） | GEL技術、日本人向け設計 | 日本人の足型、店舗で試したい | 15,000〜18,000円 |
| Brooks（Ghost 16） | バランス重視、万能型 | 初心者、選び方に迷う人 | 14,000〜16,000円 |
ブルックスのもう一つの利点は、国内のスポーツショップでの取り扱いが増えてきていることです。以前は入手しにくいブランドでしたが、最近では主要都市のスポーツショップであれば在庫を置いている店舗も多く、試着がしやすくなっています。
また、ブルックスはランニングシューズ専業ブランドとして、シューズ開発に特化した技術力を持っています。ファッション性よりも機能性を徹底的に追求する姿勢は、足底筋膜炎に悩む方にとって信頼できるポイントと言えるでしょう。
ヨネックスのパワークッションが日本人の足に合う
意外に思われるかもしれませんが、バドミントンやテニスで有名なヨネックス（YONEX）のウォーキングシューズも、足底筋膜炎対策として注目を集めています。特にSHW125というモデルは、専門家からも高い評価を得ています。
ヨネックスの最大の特徴は、「卵が割れずに跳ね返る」というCMでも有名な**パワークッション+**という衝撃吸収素材です。この素材は、着地時の衝撃を柔らかく受け止めるだけでなく、反発力も備えているため、次の一歩を踏み出しやすくなっています。
🎾 YONEX SHW125の特徴（価格：19,800円）
| 機能 | 詳細 | メリット |
|---|---|---|
| パワークッション+ | 卵も割れない衝撃吸収素材 | クッション性抜群 |
| カーボンプレート | 靴底に内蔵 | ねじれやぐらつきを防止 |
| しっかりしたヒールカウンター | 内蔵型で見た目スッキリ | 踵の安定性確保 |
| 防水・透湿機能 | ゴアテックスなど | 濡れない、ムレない |
| ガラス繊維配合ソール | 特殊な靴底素材 | 滑りにくい |
整体師の方が実際に愛用しており、「ノルディックウォーキングや軽登山の時などにはとても調子が良い」「足が痛くなることもない」と評価しています。
出典：サワムラヤ靴店
ヨネックスの靴底を見ると、柔らかいパワークッション+と硬いカーボンプレートが組み合わされていることが分かります。この柔軟性と安定性の両立が、足底筋膜炎の痛みを軽減する秘密です。柔らかいだけでは足が不安定になり、硬いだけでは衝撃を吸収できない――この矛盾を解決したのがヨネックスの技術です。
また、ヨネックスのウォーキングシューズは防水性と透湿性を備えたモデルが多いのも特徴です。雨の日でも安心して使用でき、長時間履いても蒸れにくいため、一年を通じて快適に使用できます。旅行先でも活躍するでしょう。
ただし、ヨネックスのウォーキングシューズはやや目立つデザインのものが多く、ファッション性を重視する方には向かない場合があります。また、他のランニングシューズブランドと比較すると店舗での取り扱いが限られているため、試着の機会が少ない点はデメリットかもしれません。
足底筋膜炎のスニーカー選びで注意すべきポイント
このセクションでは、以下の内容を詳しく解説していきます。
- かかとのカウンターがしっかりしている靴を選ぶべき理由
- アーチサポート機能が痛み軽減に効果的
- 紐靴がスリッポンより優れている点
- クッション性は「柔らかすぎ」も「硬すぎ」もNG
- インソールの追加で更なる改善が期待できる
- サイズ選びで失敗しないための計測方法
- まとめ：足底筋膜炎スニーカーおすすめ選びのポイント
かかとのカウンターがしっかりしている靴を選ぶべき理由
足底筋膜炎対策において、かかと部分の構造は最も重要な要素の一つです。特に「ヒールカウンター」と呼ばれる、かかとを包み込む硬い部分がしっかりしているかどうかが、痛みの軽減に大きく影響します。
ヒールカウンターの役割は、歩行時にかかとを安定させ、左右のブレを防ぐことです。かかとがぐらつくと、着地のたびに足底筋膜が不規則に引っ張られ、炎症部分に余計なストレスがかかってしまいます。
👟 ヒールカウンターの硬さをチェックする方法
- 靴のかかと部分を両側から指でつまむ
- 簡単に潰れてしまう → NG（柔らかすぎる）
- ある程度の硬さがあり、形が保たれる → OK
- 全く変形しない → 理想的
一般的に、スリッポンやクロックス、かかとを踏んで履けるタイプの靴は、ヒールカウンターが弱い傾向にあります。これらの靴は脱ぎ履きが楽で便利ですが、足底筋膜炎の症状がある期間は避けた方が良いでしょう。
📋 ヒールカウンターの強度比較（前述のブランド）
| ブランド/モデル | ヒールカウンターの特徴 | 評価 |
|---|---|---|
| Brooks Ghost 16 | 3モデル中最も硬い | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| HOKA Bondi 9 | 硬めに設計、インソール追加可能 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| ASICS Gel-Nimbus 27 | 外部樹脂で補強 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| New Balance 990v5 | 深めの設計で安定性抜群 | ⭐⭐⭐⭐⭐ |
| YONEX SHW125 | 内蔵型でしっかり | ⭐⭐⭐⭐ |
かかとがしっかり固定されていると、歩行時の無駄な動きが減り、足全体のアライメント（配置）が整います。これにより、足底筋膜だけでなく、膝や腰への負担も軽減されることが期待できます。
また、ヒールカウンターがしっかりしている靴は、オーダーメイドインソールや市販のアーチサポートインソールとの相性も良好です。インソールを入れても足がブレず、インソールの効果を最大限に発揮できる環境が整います。
逆に、かかとが柔らかい靴にどんなに高価なインソールを入れても、土台が不安定では効果は半減してしまうでしょう。インソール購入を検討している方は、まず靴のヒールカウンターをチェックすることをおすすめします。
アーチサポート機能が痛み軽減に効果的
土踏まず（アーチ）のサポート機能は、足底筋膜炎の痛み軽減に直結する重要な要素です。なぜなら、足底筋膜はかかとから土踏まずを通ってつま先まで伸びている腱組織であり、アーチが適切に支えられていないと過度に引っ張られてしまうからです。
健康な足のアーチは、歩行時の衝撃を吸収するクッションのような役割を果たしています。しかし、偏平足（アーチが低い）の人やハイアーチ（アーチが高すぎる）の人は、このクッション機能が十分に働かず、足底筋膜に負担がかかりやすくなります。
🏗️ アーチサポートが必要な理由
- 偏平足の場合：着地時にアーチが平らに潰れ、足底筋膜が過度に伸張される
- ハイアーチの場合：アーチが高すぎて硬く、衝撃吸収ができず足底筋膜に負担が集中
- 正常なアーチでも：疲労や加齢でアーチが崩れやすくなる
適切なアーチサポートを備えた靴は、土踏まずの部分が少し盛り上がった立体的な形状になっています。これにより、アーチを下から支え、足底筋膜が過度に伸びるのを防ぐのです。
📊 アーチタイプ別おすすめシューズ
| 足のタイプ | 特徴 | おすすめシューズ | 理由 |
|---|---|---|---|
| 偏平足 | 土踏まずが低い | New Balance ストラクチャー系 | 動的サポートシステム搭載 |
| ハイアーチ | 土踏まずが高い | HOKA Bondi 9 | 極厚クッションで衝撃吸収 |
| 正常アーチ | 標準的な土踏まず | Brooks Ghost 16 | バランス型のサポート |
| アーチ崩れ | 疲労でアーチ低下 | ASICS Gel-Nimbus 27 | Guidance Lineでアーチ維持 |
アシックスのGel-Nimbusシリーズに搭載されているGuidance Lineという機能は、土踏まずの下をえぐったような構造になっており、アーチの落ち込みを防ぐ設計です。この技術により、「歩き出しの刺すような痛みが和らいだ」という報告が多く聞かれます。
また、ニューバランスのズーム ストラクチャーシリーズは、3段階の密度による動的なサポートシステムがミッドソールに搭載されており、歩行時の様々な動きに対応して足の安定性を維持してくれます。
ただし、アーチサポートは個人の足の形状によって適切な高さや硬さが異なるため、既製品だけでは完璧にフィットしない場合もあります。そのような場合は、後述するインソールの追加やオーダーメイドのインソール作成も検討すると良いでしょう。
紐靴がスリッポンより優れている点
足底筋膜炎の症状がある場合、紐でしっかりと甲を固定できる靴を選ぶことが強く推奨されます。スリッポンやクロックス、サンダルなどは脱ぎ履きが楽で便利ですが、足底筋膜炎の改善という観点からは適していません。
紐靴の最大のメリットは、足の甲をしっかりとホールドし、靴の中で足が動くのを防げることです。靴の中で足が前後左右に動いてしまうと、歩くたびに不必要な摩擦や負荷が生じ、足底筋膜に余計なストレスがかかります。
👞 紐靴 vs スリッポン：足底筋膜炎への影響
| 項目 | 紐靴 | スリッポン |
|---|---|---|
| 甲の固定 | ◎ 調整可能 | × 固定できない |
| かかとの安定性 | ◎ 浮きにくい | △ 浮きやすい |
| 足のブレ | ◎ 最小限 | × 大きい |
| 足首の使い方 | ◎ しっかり使う | × ペタペタ歩きになる |
| 脱ぎ履きの手間 | △ やや面倒 | ◎ 楽 |
スリッポンやサンダルを履いていると、無意識のうちに「脱げないように」という動作が加わり、不自然な歩き方になってしまいます。つま先を上げ気味にして歩く、足を引きずるように歩くなど、これらの歩き方は足底筋膜にとって良くありません。
専門家は「スリッパ、クロックス、ひもがない靴では足首・足を使わないので、足裏の筋肉やじん帯が弱り、足底筋膜炎を起こす原因になる」と指摘しています。
出典：しらひげ鍼灸整骨院
紐靴を選ぶ際のポイントは、紐穴（アイレット）の数が十分にあることです。最低でも5つ、できれば6〜7つあると、足の形状に合わせて細かく調整できます。また、紐の素材も重要で、ナイロン製の平紐が解けにくく、適度なグリップ力があるためおすすめです。
紐の結び方にも工夫の余地があります。一般的な結び方の他に、かかとを固定する「ヒールロック」という結び方もあります。これは、上から2番目の紐穴を使って特殊な結び方をする方法で、かかとの浮きを更に抑えることができます。
マジックテープ（ベルクロ）タイプの靴も、しっかり固定できるという点では紐靴に近い効果が期待できます。特に手先が不自由な方や、紐を結ぶのが面倒な方には良い選択肢となるでしょう。
クッション性は「柔らかすぎ」も「硬すぎ」もNG
足底筋膜炎の靴選びで多くの人が陥りがちな誤解が、「痛いなら柔らかいクッションの靴が良い」という考え方です。実際には、柔らかすぎる靴も、硬すぎる靴も、どちらも足底筋膜炎には適していません。
硬すぎる靴底のデメリットは明確です。地面からの衝撃を直接足裏に伝えてしまい、炎症を起こしている足底筋膜にさらなるダメージを与えます。革靴の底のように平らで硬いソールは、まるで石畳の上を裸足で歩いているようなものです。
一方、柔らかすぎる靴底の問題点は意外に知られていません。柔らかすぎると、立った時に足が沈み込み、足のアーチを適切に支えることができなくなります。これによって足が不安定になり、かえって足底筋膜への負担が増してしまうのです。
⚖️ クッション性の最適なバランス
硬すぎる（NG） ← → 適度な硬さ（OK） ← → 柔らかすぎる（NG）
【硬すぎる例】 【適度な例】 【柔らかすぎる例】
・革靴 ・ランニングシューズ ・クロックス
・ビジネスシューズ ・ウォーキングシューズ ・安価なスリッポン
・薄底スニーカー ・スポーツシューズ ・室内用スリッパ
適切なクッション性を持つ靴は、柔らかさと反発性のバランスが取れています。着地時には衝撃を吸収するために柔らかく沈み込み、蹴り出し時には適度な反発力で次の一歩を助ける――このような動的なクッション性が理想的です。
📊 各ブランドのクッション性の傾向
| ブランド/モデル | クッションの柔らかさ | 反発性 | 総合評価 |
|---|---|---|---|
| HOKA Bondi 9 | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | 最も柔らかいが反発もある |
| ASICS Gel-Nimbus 27 | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | 柔らかさと反発のバランス良好 |
| Brooks Ghost 16 | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐ | 粘りのある柔らかさ |
| New Balance 2002R | ⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | 高い衝撃吸収性と反発性 |
| YONEX SHW125 | ⭐⭐⭐⭐⭐ | ⭐⭐⭐⭐⭐ | パワークッション+が特徴 |
ナイキのNike Reactフォームのような技術は、柔らかく弾力性に富んだクッション性を実現しています。繊細なかかとの保護に重点を置きながら、ミッドソールが効果的に衝撃を吸収する仕組みです。
また、靴のクッション性は使用頻度や体重、歩き方によって劣化していくことも忘れてはいけません。一般的に、ランニングシューズは400〜800km走行すると買い替え時期と言われています。ウォーキングシューズの場合も、6ヶ月〜1年程度で見直すのが理想的でしょう。
クッション性が劣化した靴を履き続けることは、足底筋膜炎の悪化につながる可能性があります。「まだ外見はきれいだから」と使い続けるのではなく、ソールの状態を定期的にチェックする習慣をつけましょう。
インソールの追加で更なる改善が期待できる
靴選びと並んで重要なのが、インソール（中敷き）の活用です。既製品のシューズだけでは自分の足に完璧にフィットしない場合でも、インソールを追加することで更なる改善が期待できます。
インソールには大きく分けて、市販の既製品インソールとオーダーメイドインソールの2種類があります。価格は既製品で3,000〜7,000円程度、オーダーメイドで10,000円以上が一般的です。
🦶 インソールの種類と特徴
| 種類 | 価格帯 | メリット | デメリット | おすすめの人 |
|---|---|---|---|---|
| 既製品（基本タイプ） | 3,000円前後 | すぐ購入可能、安価 | 汎用的でフィット感は中程度 | 軽度の症状 |
| 既製品（高機能タイプ） | 7,000円前後 | 専門技術を採用、効果高い | やや高価 | 中程度の症状 |
| オーダーメイド | 10,000円以上 | 完全に自分の足に合う | 高価、作成に時間 | 重度の症状、特殊な足型 |
市販のインソールで特に評価が高いのが**Superfeet（スーパーフィート）**です。アーチサポート入りインソールとして定評があり、前述した靴底（HOKA、ASICS、Brooksなど）との相性も良好です。
専門家によれば「既製品のアーチサポート入りインソールでも痛みが半分以下に減ったというデータもある」とのことです。
出典：義肢装具士のnote記事
オーダーメイドインソールは、足型を採取して個人の足に合わせて作成されます。既製品では対応しきれない特殊な足型の方や、症状が重度の方には特におすすめです。一部の整形外科や専門店では、保険適用で作成できる場合もあります。
インソールを選ぶ際の注意点として、靴との相性があります。特に重要なのが以下の2点です：
- 靴のヒールカウンターがしっかりしているか：インソールの効果を最大化するには、土台となる靴がしっかりしている必要がある
- 靴の内部スペース：インソールを入れると内部が狭くなるため、元々タイトな靴には向かない
💡 インソール導入のステップ
- まず靴を適切なものに変える
- 2〜3週間使用して効果を確認
- まだ痛みが残る場合、インソール追加を検討
- 最初は既製品の中価格帯（5,000円前後）を試す
- 効果不十分ならオーダーメイドを検討
インソールを入れた直後は違和感を感じることがあります。これは足が新しいサポートに慣れていないためで、通常1〜2週間程度で慣れてきます。ただし、強い痛みが出る場合は使用を中止し、専門家に相談しましょう。
サイズ選びで失敗しないための計測方法
適切なサイズの靴を選ぶことは、足底筋膜炎対策の基本中の基本です。しかし、多くの人が「いつものサイズ」で選んでしまい、実は足に合っていないケースが少なくありません。
足のサイズは左右で異なることが一般的で、さらに時間帯や体調によっても変化します。朝と夕方では、むくみによって足の大きさが変わるため、可能であれば夕方に試着するのが理想的です。
📏 正しい足のサイズ測定方法
- 両足を測る：左右差を確認し、大きい方に合わせる
- 夕方に測る：一日の中で最も足が大きくなる時間帯
- 靴下を履いた状態で測る：実際に履く状態で計測
- 長さだけでなく幅も測る：足囲（ワイズ）も重要
- 立った状態で測る：体重がかかった状態のサイズ
靴のサイズ選びでよくある間違いが、「つま先に余裕があれば大丈夫」という考え方です。確かに、つま先には1〜1.5cm程度の余裕（捨て寸）が必要ですが、それだけでは不十分です。
✅ 適切なサイズの確認ポイント
- ✓ かかとがぴったりフィット：靴のかかとと足のかかとが一体化する感覚
- ✓ 足の甲が圧迫されない：紐を締めて窮屈すぎない
- ✓ 土踏まずの位置が合う：靴のアーチサポートと足のアーチが一致
- ✓ つま先に余裕：立った状態で1〜1.5cmの隙間
- ✓ 幅が適切：横幅がきつすぎず、緩すぎない
📊 ブランド別サイズ感の傾向
| ブランド | サイズ感 | 幅 | 試着時の注意点 |
|---|---|---|---|
| ASICS | 日本サイズ通り | やや広め | 日本人の足に合いやすい |
| New Balance | やや大きめ | 幅広展開あり | 0.5cm小さめも試す |
| HOKA | やや大きめ | 標準〜広め | 厚底に慣れる時間が必要 |
| Brooks | 標準的 | 幅広展開あり | 比較的サイズ通り |
| YONEX | 日本サイズ通り | やや広め | 日本メーカーで合いやすい |
オンラインで購入する場合は、返品・交換が可能なショップを選ぶことが重要です。最近では、自宅で試着して合わなければ返品できるサービスも増えています。
サイズ調整の小技として、靴紐の結び方を工夫する方法もあります。例えば、甲が高い人は紐をゆるめに結び、逆に甲が低い人はしっかり締める。また、左右で足のサイズが違う場合は、インソールや厚めの靴下で微調整することも可能です。
ただし、あまりにもサイズが合わない靴を無理に調整して使うのは避けるべきです。0.5cm程度の差なら調整可能ですが、1cm以上違う場合は別のサイズを選んだ方が良いでしょう。
まとめ：足底筋膜炎スニーカーおすすめ選びのポイント
最後に記事のポイントをまとめます。
- 足底筋膜炎に適したスニーカーは、適度なクッション性と安定性のバランスが重要である
- ニューバランスは幅広展開と高い耐久性で日本人に人気がある
- アシックスのGELテクノロジーは日本人の足型に合わせた設計が特徴である
- ホカオネオネの極厚ソールは長時間立ち仕事をする人に特におすすめである
- ブルックスのGhostシリーズは万能型でバランスに優れている
- ヨネックスのパワークッションは衝撃吸収と反発性を両立している
- かかとのヒールカウンターがしっかりしている靴を選ぶことが必須である
- アーチサポート機能は足底筋膜の過度な伸張を防ぐ
- 紐靴はスリッポンより足をしっかり固定できる
- クッションは柔らかすぎても硬すぎても足底筋膜炎には適さない
- インソールの追加で更なる改善効果が期待できる
- 既製品インソールは3,000〜7,000円、オーダーメイドは10,000円以上が目安である
- 靴のサイズは左右で異なることが多く、夕方に測定するのが理想的である
- つま先には1〜1.5cmの余裕が必要だが、それだけでは不十分である
- スリッパ・クロックス・サンダルは足底筋膜炎の期間は避けるべきである
記事作成にあたり参考にさせて頂いたサイト
- 足底筋膜炎を治したい！治療院が教える靴の選び方【症状別おすすめシューズも紹介】 – アルケル治療院
- 【2025年春 最新版】足底筋膜炎に本気でおすすめしたい靴３選！｜こば👟義肢装具士｜1万人以上の足を診た靴屋
- 足底筋膜炎に配慮した靴 | AKAISHI 公式通販
- 足底筋膜炎におすすめのニューバランス！選び方と注意点│しらひげ鍼灸整骨院
- かかとが痛い！足底筋膜炎に良い靴とは？ | サワムラヤ靴店
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- Reddit – シンスプリント/足底筋膜炎におすすめの中敷き
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